第233話 まだまだあるぞ伝統行事
「何をやっているんですか!」
香緒里ちゃんの一喝。
風呂から帰ってきた3人組に怒られた。
階段のあたりからも騒いでいる気配が丸聞こえだったそうだ。
「どうせジェニーあたりが提案して、修が悪ノリしたんだろ」
奈津季さんその通りです。
「取り敢えず上級生2人は罰が必要ですね」
香緒里ちゃん、口調とは裏腹に目が笑っている。
あ、これ絶対下らない事を思いついたな。
「それでは被疑者2名、それぞれそこの敷布団の上にうつ伏せで横になって下さい」
嫌な予感がするが、今の状態では逆らえない。
俺とジェニーはそれぞれ布団の上にうつ伏せになる。
「ではソフィーとルイスは、それぞれ敷布団を持ってきて2人に被せて下さい」
あ、何をされるかわかってしまった。
「これってまさか、布団蒸しれすか」
「正解です。それでは最後に掛け布団で全体を包んで、上から乗っかる!」
視界が真っ暗になり、そしてドスンドスンと上から何かが乗ってきた。
重い、容赦ない。
でも布団蒸しの恐怖はそこではない。
布団内に密閉されて息苦しくなる。
間違いなく暑苦しくなってきている。
あ、結構きついかも。
隣でバタバタしている気配がする。
ジェニーは暑さに弱い。
多分ジェニーがギブアップの意思表示をしているんだろう。
しかし敵には補助魔法科医療専攻がいる。
本当にやばくなる寸前には助けてくれるだろうが、逆に言うとまだ大丈夫という判断も出来るという訳で……
上で明らかにドン、と誰かに飛び乗られた気配。
この軽さは詩織ちゃんだろう。
それにしてもそろそろ暑くなってきた。
布団の隙間を開けようとしても身体が動かない。
うー、そろそろヤバイぞ。
助けてくれないかな……早く……
3分程で俺達は無事開放された。
でもジェニーの顔は既に赤くなっている。
浴衣もはだけていてかなりエロいので、俺は思わず視線を外した。
「本当はあと布団巻きも考えたんですけどね」
既に香緒里ちゃんの表情は隠しきれない笑顔。
一番悪ノリしているのは香緒里ちゃんじゃないだろうか。
「布団巻き、って何です」
不思議そうな顔の風遊美さん。
「敷布団で人をぐるぐる巻きにして、最後に外側を浴衣の帯で縛るれす。隠れキリシタンの処刑からヒントを得たという古式豊かな修学旅行の伝統行事れす」
ジェニーが間違った日本観満載の解説をする。
「いつもはベッドだからこういった事は出来ないな」
「畳と布団のカルチャーならではですね」
こうやって怪しい文化は伝染していくのだろう。
「修、明日の宿はベッドだっけ」
「独立したコテージで、全員シングルベッドの予定です」
「ならここでしか出来ないか、修、ちょっとこっち来い」
凄く嫌な予感がする。
きっと接近してはいけない。
「念のため用件を聞いていいですか」
「日本古来の伝統の運動、四十八手の実演などを」
「それは結構ですから」
まだ夜は始まったばかりだ。
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