第226プラス話 終話 これで作業は捗るな
詩織ちゃんは足と左手を椅子に縛り付けられている。
さらにその椅子は俺の魔法で床とテーブルにきっちり固定されている。
詩織ちゃんは空間魔法を発動する際、両足か両手で移動のための反動をかける。
いざという時には重力を使って落ちる勢いで空間魔法を発動するのも可能だ。
でもこの固定措置により、詩織ちゃんは魔法で移動をする事が出来ない。
詩織ちゃんの目の前には、特製ミニどら焼きと特製パフェ。
箸とフォークとウエットティッシュ、そして武士の情けの炭酸水入りコップも置かれている。
スイーツがほんの少しどこか赤くて異臭もするのはきっと気のせいだ。
そしてただ1つ自由になる右手。
「とりあえず、全部食べたら自由にしてやる。特別メニューだから残すなよ」
大丈夫、全体のカプサイシン量は致死量よりはるかに少ない。
それ位は俺の魔法で調節してある。
「うえーん修先輩酷いです。ルイス助けてくれなのです」
「残念だが、今回は自業自得だ」
奈津希さんもルイス君の言葉に大きく頷く。
「炭酸水だけは足りなくなったら追加してやるよ。という訳で皆でわかちあう前に、まずは自分で試食してみような」
という訳で、俺達はそれぞれ自分の作業に戻る。
時々ジタバタして何か液体をがぶ飲みしむせる音がするようだが気にしない。
次の措置は俺達の調理が完成するか、試食が終了するまで待つことにしよう。
という訳で、俺達は心置きなくスイーツ作りを続ける。
時折妙な音をBGMにしながら。
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