第218話 恥ずかしいのは何故ですか

「そう言えば奈津希、島を出る話は皆にしたの」

 風遊美さんが普通の調子で爆弾発言を仕掛ける。


「厳しいな、風遊美は」

「来年度になったら会う機会も少なくなりますし、今のうちに言った方がいいと思いますよ」

「そうなんだけれどさ」


「奈津希さん、大学は行かないれすか」

 ジェニーが尋ねる。

 由香里姉も香緒里ちゃんも集まってきた。


「まあここで言うのも何なんだけどね。卒業したら特区ここを出る事にしたんだ。ちょっとやりたい事があってね」


「それが何か聞いてもいいですか」

「まだ駄目。恥ずかしいから」


 理由、恥ずかしいからって言われるのはちょっと予想外だった。


「取り敢えず2年間かな。それ位で帰ってくる予定だけど、納得がいかなかったらもう少しかかるかもしれない」


 という事は年数が決まっている学校とかではないという事か。

 前に聞いた時はフランス語を勉強しているというから、てっきりフランス語とドイツ語が公用語になっているドイツの魔法特区かと思ったのだが。


「まあ間違いなく特区ここには帰ってくる予定だけどな」


 特区ここに戻ってくるって言う事は何だろう。

 俺には思いつかない。

 特区ここには魔法以外何も無いような気がするし。

 でも魔法関係では特区ここが一番進んでいるから出る必要は無いし。


「まあ間違いなく帰ってくるから心配するなよ」

「奈津希なら心配する必要は無いとは思うのですけれどね」


 確かに奈津希さんをどうこう出来る人がそういるとは思えない。

 だけど。


「寂しくなりますね」

「でもまだあと1年以上先だぜ。何なら寂しくならないよう、その間ぎちぎちに愛してやろうか」

「それはいいですから」


 全裸で抱きしめ腰振りモーション付で言わないで欲しい。

 まあ俺は視線を水面固定で何も見ないように会話をしているので、視界の隅でちょっと見えた程度だが。

 何せ目の前は全裸女子高専生だらけなので、視線を上げられないのだ。

 本人達は全く気にしていないけれど。


「戻ってくる前には全て明らかにするから楽しみにしててくれよ。早くて3年後だけどな」

「それ位なら私達も全員まだここにいる筈ですしね」


 何を目指しているのか、本当は聞きたいけれど。

 でも奈津季さんが恥ずかしいと言うならあえて聞かない。

 恥ずかしいが付くのは何故か、実の処凄く気になるのだけれど。

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