第212話 あなたが私にくれたもの

「さて、宴たけなわではございますが、そろそろお待ちかねのプレゼント交換の時間になってまいりました」


 奈津希さんの宣言に、歓声と拍手で応える。


「という訳で、こちらのスペースで円を作って」


 部屋の北西側、何もないスペースで円状に集まる。

 そこで奈津希さんは全員にカードを渡した。

 カードと言っても3つ折りになっていて中は見えない、


「それでは説明するよ。

 これからかける曲にあわせ、右の人にカードを渡して左の人からカードを受け取る動作を繰り返す。曲が止まった瞬間に持っていたカード、それがプレゼントを貰う相手になる。

 自分の名前が書かれていたら、強制的に左隣の人と交換だ。

 なおプレゼント授与式は順番にやるから、呼ばれるまでは待っていてくれ。

 それでは、ちゃんと円を作って隣を確認して」


 俺達は円を作る。

 俺の右隣は香緒里ちゃんで左隣が風遊美さんだ。

 奈津希さんはポケットからスマホを取り出し、何か操作する。

 遠隔で部屋のステレオから音楽が鳴り出した。


「それでは3、2、1、スタート」


 WHAM!のクリスマスの定番曲が流れる中、カード交換が始まる。


「ちなみに曲は5分近くあるのでご了承を」

「ちょっと長すぎです」

「手渡しにちょうどいいテンポの曲が思いつかなくてさ」


 確かに、ちょっと長いかも。

 最後のララララーの部分が小さくなっていく。


「はいストップ。自分のカードの中を確認!」


 俺は3つ折りのカードを開く。

 中には『風遊美』と書いてあった。


「さて、それでは順にプレゼント授与式だ。まずは風遊美から貰うのは誰だ」

「俺です」


 風遊美さんはウェットティッシュの入れ物位の大きさの箱を持ってくる。

 水色の包装紙に赤のリボン付き。


「私からのプレゼントです。大事に使っていね」


「開けてみていいですか」

「そうだね。時間もあるから一つずつ確かめながらいくか。いいかい風遊美」

「そうですね。その方が楽しいです」


 という訳で俺はリボンを解き、包装紙を外す。


 箱を開けると出てきたのはちょっと大きめのマグカップ。

 形は湯呑みを上に伸ばしたような、下部分が曲線ですぼまっていて縁が少しだけ開いている形。白地に青色で花が描かれていて、そして取っ手が綺麗な青色。


「普段使い用の大きめのマグカップです。良かったら使って下さい」


 俺が見てもいいものだとわかる。

 大きさも0.4Lとあるので結構入るし、使いやすそうだ。


「ロールストランドのだね。ノーベル賞の授賞式で使われている有名メーカーだ」

「奈津希、説明は無粋ですよ」

「確かにそうだね」


 そして次々とプレゼントが渡され、開封されていく。


 奈津希さんの「某北海道有名パティシエのチーズケーキセット」はジェニーへ。

 俺の魔法杖機能付ストラップはソフィーへ。

 香緒里ちゃんの魔石入りペンダントは風遊美さん。

 ジェニーの白とピンクのソーラーダイバー腕時計は香緒里ちゃん。

 ルイス君のガーネットのネックレスは詩織ちゃん。

 ソフィーのエッセンシャルオイルとディフューザーセットは奈津季さん。

 詩織ちゃんの護り刀(小刀版)はルイスくんへと渡った。

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