第211話 優雅で日本的なクリスマスパーティ?
「さて、まずはディナーだな」
奈津希さんとジェニーがキッチンの冷蔵庫等からケーキだのフライドチキンだの手巻き寿司だのを出してくる。
「それにしてもこの島でケーキを作るのは大変だったんじゃないですか」
「卵も牛乳も生クリームもイチゴも通販で買った。やっぱりジャパニーズ・トラディッショナルなクリスマスケーキと言えば生クリームにイチゴだからな」
外国に変な日本文化が伝わるのは、きっとこういう人のせいだ。
「あとチキンもあえてケンタッキー風に作ってみたぞ。圧力かけたり香辛料使ったりしてな」
「手巻き寿司ってのは」
「日本のファミリーパーティなら手巻き寿司だろ」
色々誤解が多そうだがまあ無視しよう。
「あとアルコール無し炭酸入りのシャンメリー。これがお約束だよな」
「蓋は私が開けるです」
詩織ちゃんがシャンメリー3本を取り、ルイス君とソフィーちゃんに手渡す。
「それでは開けるですよ。3,2,1でメリークリスマスとご唱和頼むっすよ」
3,2,1!
「メリークリスマス!」
号砲代わりのシャンメリーの栓が飛ぶ。
「まずケーキを切るな。修、悪いが魔法を使って正確に9等分出来るか」
「9等分でいいんですか」
この場にいるのは8人だ。
「由香里さんの分。今日は遅いと聞いているけどケーキくらいは取っておいてもいいだろ」
「了解です」
正確に40度ずつ切り分けられたケーキが出来上がる。
「じゃあ後はプレゼント交換まではフリーだ。食べようぜ」
「奈津希、すみませんけれど、手巻き寿司ってどう食べるのですか」
そうか。
手巻き寿司を知らない人がいるのは当たり前だな。
「これはこの海苔を取って、このスプーンで御飯を伸ばして載せて、適当な具を入れたいだけ載せて、何なら
「手を使ってもいいんですか」
「当然、むしろ最後は手で掴まないと食べられないしな」
手巻き寿司が始めてらしい風遊美さんとルイス君が真面目に奈津希さんの説明を聞いている。
一方でジェニーとソフィーちゃんはフライドチキンを巻いたり好き勝手に作って食べている。
どうもあっち側には日本人が知らない日本食文化があるようだ。
フライドチキン巻以外にも、きゅうりサーモン裏巻きとか色々作っている。
それにしてもきょうの料理、ケーキ以外も材料を用意するのが大変だったろう。
手巻き寿司だけでもたまご、きゅうり、かんぴょう、しいたけ、まぐろ、サーモンと色々揃っている。
まぐろはこの前釣ったのの流用だろうが、後はわざわざ注文したのだろうか。
ここのスーパー、品揃えが不確かだし。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます