第208話 新役員は決定した

 そして19日水曜日。

 今年は振替休日があるので冬休み前まであと2日。

 午後4時。

 やっぱり誰も応募はない。

 例年だとそろそろ締切通知人がやってくる頃だが……


「筑紫野先生接近中。あと15秒れす」


 来てしまったか。

 俺が会長不適格と教授会が判断するという万が一の事態を期待しよう。


 例によってノックの音の後、返事も聞かずに扉が開かれる。

 入ってきたのは筑紫野先生1人だけ。


「例年通り、応募者は無かったみたいね」


 俺達は頷く。


「なら引き継ぎ決定よ。副会長と会計と監査を決めてこの紙に書いて」

「という事は会長は誰か教授会で推薦してくれると」

「逃げるのはやめようね、長津田君」


 会長決定、か。

 予想はしていたが勘弁して欲しい。


「会長は弁が立ってもう少しルックスのいい奴がやるべきかなと」

 それでも俺は食い下がる。


「学園祭の例の刀の会の時、なかなか見事な態度と弁舌だったわよ。あれなら会長を任せても大丈夫かなって」


「誰がやらせたんですか、誰が」

「何の事かしら」


 わざとらしくとぼける毒女様(彼女パートナー?あり)。


 その間にも香緒里ちゃんとジェニーはそれぞれ副会長と監査のところに名前を自分で書き入れる。

 実はもう相談は済んでいる。

 書記はソフィー、会計はルイス君。


 書き上がったものを筑紫野先生は確認して立ち上がる。


「ならこれで教授会には提出しておくわ。告知及び不承認申し出受付のポスターはこっちで作って貼っておいて」


「わかりましたれす」

 ジェニーが印刷済みの紙を手元から1枚先生に渡す。


「早いわね、往生際が悪いのは長津田君だけなのね」

 まあ想定済みだったからな。


「じゃあね」

 と毒女様はドアを開けて帰っていった。

 そして残る俺のため息。


「じゃあ皆で手分けして掲示板に貼りに行こうか」

 奈津季さんの声。

 まあ決まってしまった事はしょうがない。

 俺もあきらめてポスター貼りに参加しよう。

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