第193話 書類処理がしんどいぞ
結局例のアミュレットは、学内販売に限りOKという事になった。
『攻撃魔法科は授業中使用禁止』の注意書き付きで。
量産品を購買部で委託販売していて、少しずつではあるが売れはじめている。
またルイス君は例の刀をよっぽど気に入ったらしく、教官に授業で使用可能か尋ねてみたが、やっぱり使用禁止と言われてしまったとの事。
諦めきれないルイス君は詩織ちゃんに魔力増幅以外全く同じ日本刀を注文し、現在作ってもらっている。
そろそろ本格的に学園祭の準備に入る。
今年は学生会も昨年より忙しい。
一番忙しいのがジェニーとソフィーがやっている広報だ。
毎日色々取材したり写真をUPしたり精力的に活動している。
Webでの反応もなかなかいいようだ。
香緒里ちゃんと詩織ちゃんは工房に詰めたままだ。
日本刀の注文やバネの件もあるが、教授会に頼まれたものもあるらしい。
例えば模擬戦闘用パワードスーツとか、日本古来の日本刀と比較する為の魔法製造日本刀とか。
時々様子を見に行っているが、かなり忙しそうだ。
風遊美さんと奈津季さんは連絡調整等で交互に学内を飛び回っている。
俺はなんやかんや言ってもちまちま提出される書類の審査に忙しい。
あの杖やアミュレットを作っていた期間も毎日1時間は審査書類眺めていたし。
常に部屋にいる俺の前に必然的に書類が溜まっていく。
無論俺の担当でなければ担当者の机の上に置くが、仕分けだけでも結構面倒だ。
今は予算系の仕事も俺扱いだし。
「しかし書類が多いわりには処理が速いな」
今日は奈津季さんが居残り番だ。
つまらなそうに決裁書類や連絡調整関連の書類を見ては、学生会として発行する書類を作成している。
「去年も同じ仕事やりましたしね。内容も去年と同じものが多いですから」
ひょっとしたら来年もやるかもしれないし、その可能性も高いのだが。
「そう言えばルイス君は?」
いつもは決裁書類のはんこ押しをやっているルイス君がまだ来ていない。
「今日は学内居合大会の第1予選なんだと」
そう言えばそんな書類も来ていたな。
でも
「うちに居合なんて授業や研究会ありましたっけ」
「実際は単位時間内に何本の藁苞を切れるかの競争だとさ。例の件で日本刀ブームが来ちゃってさ、未だに盛り上がったままの状態なんだ。ルイスもあの刀をいたく気に入っているしな」
「でも確かに見た目にわかりやすいし、面白そうな大会ですね」
「僕は刀使いじゃないから遠慮したけどさ、攻撃魔法科の半数以上は参加申し込みしている感じだ。大人げないことに翠さんも出場するらしいぜ」
それは確かに大人げない。
少なくともうちの学生の剣使いとしては、鈴懸台先輩は最強の存在だ。
「まさかクラウ・ソラスで居合い斬りやる訳じゃないですよね」
「
鈴懸台先輩は6月の推薦試験でもう専科の合格が決まっている。
だから単位さえ落とさなければ、あとはやりたい放題だ。
「ルイス君はどれ位まで行けますかね」
「トーナメントじゃないから予選くらいは通るだろ。本質的には風の魔法使いだが、剣を使った近接戦闘も得意だしな」
そんな雑談をしながら書類を処理していく。
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