第192話 思った以上に高性能
「修君、少し考えてみましょう。これは魔力で魔力を増幅させていますよね。ただでさえ魔力が特大の2人が、その魔力で増幅と集中かけたら、どうなると思いますか」
言われて初めて気づいた。
魔力は大きいことがわかっていたから増幅回路をかなり太めに作り、バイパス回路も付けて回路焼けしないようにはしていたが、そこまでは考えていなかった。
「ごめんなさい。手に取った瞬間気づいたのですけれど、修兄に貰ったものだから嬉しくてつい」
「私も気づいていたですよ。これを使えば事前調査なしのいきなり長距離遠隔移動が出来そうなので楽しみにしていたです」
そんなに凶悪な代物になっていたのか。
まあ思いついた機構で使えるのは詰め込んだし、確かに杖より集中しやすいなとは思っていたのだけれども。
「まあ香緒里と詩織なら、そう危ない事はしないと思いますけれど、量産品を作る時はもう少し威力を落とした方がいいと思いますわ」
「同感だね。伝説の指輪クラスの威力を量産されたら洒落にならない。作ってもいいけどパテント取ったり設計図公開したりは教授陣と要相談だな。
ところでそのアミュレット、魔石の交換は出来るのかい」
「香緒里ちゃんと詩織ちゃんのは無理ですけれど、俺の先行試作型なら」
俺はバックの中から俺のアミュレットを取り出し、魔石を出した状態にして渡す。
すると奈津希さんも自分のバックから、杖を取り出した。
「久々に出すな、我がプレアデス」
装飾がほとんどない木製の1本杖。
だがその正体は魔石5個を格納した多属性魔法持ち用仕込み杖の試作1号だ。
仕込み杖部分は刀というより槍。
これも日本刀と同じように芯と刃が違う鋼になっている。
結局それ程の属性を魔法戦闘に使う魔法使いは他にいないので、1号だけしか作っていないけれど。
奈津希さんは杖の柄部分から魔石5個を取り出し、一つを俺のアミュレットにセットする。
「おー、これは厳しい代物だ。ほれ」
ルイス君に渡す。
「何だこれは。強化覚醒魔法を数回使ったようだ」
次は魔石を抜いて風遊美さんへ。
風遊美さんは前からの杖から魔石を抜いてアミュレットに入れ、ジェニーに渡す。
「これは、凄いれす。力も解像度も数段上がるようれす」
「凄くエンパワーメントされます」
一通り回った後、俺に返ってきた。
「とりあえず教授会に出すことを勧めとくよ。こんなの授業で使われたら評価も何もあったもんじゃない。あとルイス、その日本刀も授業使用は禁止だからな」
急にがっくりするルイス君。
「駄目ですか」
「当たり前だろ。その刀の追加魔力導線も増幅回路並の代物だろ。
総合的な戦力はそのアミュレットと大差ないチート仕様だ。そんなの使われたら他の学生が可哀想だ。由香里さんだってあえて授業では自分の杖を使っていないんだ」
「でも奈津季先輩のその杖はいいんですか」
奈津希さんは自分の杖に魔石を全部装備してルイス君に渡した。
「これは意外だ。方向性が違う。パワーを落としてでも操作性と精密性を上げる方向ですか」
「僕が修に頼んだからさ。大魔法より精密攻撃用ってね。相手の持ち味を最大限に活かしつつ、いかに裏をかくかというコンセプトだから」
「茨の道ですね、それ」
「僕の美学さ」
「補助魔法科はそういう難しい事はないから、頂いた杖は安心して使って下さい。アミュレットより魔力導線が長い杖の方が治療等細かい作業に向いていますしね」
何かごちゃごちゃになったが、まあ一応皆喜んでくれているようでよかった。
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