第185話 小話その3の1 南国リゾート奴隷労働
今日は無人島ビーチリゾートの予定だそうだ。
そういう訳で、学生会役員一同は北之島に来ていた。
去年海水浴をやったり某国軍と戦ったりしたあの砂浜だ。
ちなみに去年はここにサメが出る事を知らずに遊んでいた。
なかなか危ない状態だったわけだ。
だが今年はジェニー様という探知魔法の使い手がいる。
既に魔法は発動中で全員が海中のサメ接近を感知できるようになっている。
奈津希さんはルイス君と銛を持って魚捕り。
風遊美さんはごく浅いところで半身浴とか寝湯状態で海を満喫中。
香緒里ちゃんとジェニーとソフィーちゃんはビーチバレーもどきをやっている。
そして俺は詩織ちゃんの砂鉄採取に付き合わされていた。
採取自体は詩織ちゃんの作ったみかん箱2個程の大きさの装置がやってくれる。
設置すると海水と砂を吸い上げ、砂鉄だけ回収して海水と砂を吐き出す装置。
ただ10分毎に移動させる必要があって、それがなかなか面倒くさい。
かつなかなか砂鉄が溜まってくれない。
30分稼働して、ようやく300グラム程度。
つまり10分100グラムということか。
「なかなか気が遠くなるような作業だな」
「でも本日中に刀2本分は採りたいのです。第一弾が好評だったので追加注文が来ているのです」
ん、追加注文?
「なんだ、追加注文って」
「第一弾で作った三日月宗近が評判良くて、鶴丸国永と山姥切国広を作ってくれという注文が来ているのです。攻撃魔法科学生からの注文なのです。2学期からは使いたいという話なので夏休み中には完成させるです」
うーむ、魔法剣に日本刀というのは俺も考えつかなかった。
ただ刀のセレクトに多少の疑問も感じるが。
どこぞのゲームの影響、まさか無いよな。
「でもいい加減な砂鉄原料で大丈夫なのか」
「製鉄用に香緒里先輩に新しい炉を作ってもらったのです」
そう言えば夏休み前に倉庫の隣に登窯の出来損ないみたいなのが出来ていた。
あれは
「既に南浜の砂鉄で作った鬼丸国綱は強度チェックもパスしているです。ただ南浜の砂鉄は一通り採り終えたので、砂が入れ替わるまで他の場所で採らないといけないのです」
「そのうち木炭を採るために自然破壊なんて事は無いよな」
「木炭は仕方ないので通販で注文したです。特区の僅かな緑など科学の前にはひとたまりもないのです」
いや違うからそれ。
「この砂鉄採集機、移動させるの面倒だな。自律移動式にはしないのか」
「南浜のは自律移動式なのですが、大きくて重くて島外持ち出し無理なのです。島内程度なら私の魔法で移動出来るのですが」
成程。
時折海に浸かったりしながら、俺達は砂鉄採取を続ける。
南国の太陽にじりじり焼かれながら重い砂鉄採集機を動かすのは、まるで奴隷労働のようだ。
無人島リゾートのつもりで来たのに何をやっているんだろう、俺は。
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