第144話 新入生様ご案内(2)
3人は旗台詩織、ルイス・ヴィンセント・ロング、ソフィー・サラ・グリンヒルと名乗った。
それぞれ補助魔法科、攻撃魔法科、補助魔法科だそうだ。
まずは詩織ちゃんが質問する。
「実はですね、魔技高専に無事入学出来たのですけれど、どうも実際にやることのイメージが湧かないのです。勿論学校だから勉強するのは当然なのですけれど、魔法については身近でないせいかどうしてもイメージとしてわからないのです。カリキュラムとか取得単位とかの資料は見たのですけれど」
「他には学校生活等もですね。私もルイスも日本は初めてなので、生活環境等も含めて若干不安がありまして。ジェニーさんに相談したら、月曜なら暇だから遊びに来るつもりでおいでよ、と誘われまして」
成程、学生会執行部希望という訳ではないのか。
でもまあ、後輩に頼られたなら相談にのってやらないとな。
「まずは同じ学科の先輩に聞いて、何なら専門教室や資料庫等も見て説明してもらえばいいかな。幸い補助魔法科も攻撃魔法科もいるし」
「あ、出来れば私は魔法工学科の方にお話を聞きたいのです。実は第一志望が魔法工学科だったのですが不合格で、第二志望の補助魔法科に救って貰った状態なのです。出来れば今後転科を狙っているのです」
転科はこの学校では珍しいことではない。
魔法の適性は思春期に大きく変わることが珍しくないからだ。
ただ大抵は魔法工学科から攻撃魔法科か、補助魔法科から攻撃魔法科への転科で、それ以外はあまりないけれど。
「なら、それぞれの科に分かれて説明会といこうぜ。いいかい風遊美」
「そうですね」
という事で、それぞれに別れる事にする。
俺と香緒里ちゃんがまず詩織ちゃんを連れて行ったのは、いつもの俺達の工房だ。
「ここは学生会の工房だけど、設備は授業で使う工作室と同等以上にはなっている。まあ実際に魔法工学科で何をするかってのは、作ったものを見た方が早い」
シャッターを開けると、詩織ちゃんが小さく悲鳴をあげた。
しまった。
例の悪ノリ工作の品々もそのままだった。
「ミサイルだの変な神像だの蝋人形だのは冗談だから気にしないで」
「あ、そう言えばWebで見たのです」
例のWebにはそんな事まで掲載しているようだ。
「という訳でまずはわかりやすいものから。Webでも見たかな、空飛ぶ漁船」
「一応知ってはいましたけれど、見れば見るほど漁船そのものですね」
と言いつつ、詩織ちゃんは下だの横だの色々な角度から船を観察している。
這いつくばったり隙間から覗き込んだり。
格好だけではない、いかにも好きモノの観察の仕方だ。
「外観からは違いは見えにくいよな。香緒里ちゃん、ちょっと俺の感覚を中継してもらっていいか」
俺は審査魔法を使った状態で香緒里ちゃんに頼み、審査魔法で認識した船の構造を詩織ちゃんに中継してもらう。
「うわ、これはすごく便利ですね。成程、浮力と推進力はそれぞれ魔法素材の効果を調整して出している訳ですね」
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