第11章 新人歓迎!新学期

第142話 春休みの終わり

 昨日の新入生懇話会や学校案内。

 今日の研究会や各事務局等の紹介。

 そんな新入生対象の学生会主催行事2件を無事に終えた4月6日金曜日の夜。


 俺達新役員全員、ぐったり疲れて露天風呂に浸っている。

 例によって香緒里ちゃんは樽湯、ジェニーが寝湯、奈津季さんと由香里姉がメインの浴槽で俺と風遊美さんがぬる湯だ。


 ちなみに春休み中、少しだけ露天風呂を改装している。

 主な変更点は3つ。

  ○ ぬる湯の浴槽を少し拡大。

  ○ 樽湯ももうひとつ追加。

  ○ 樽湯の温度調整をほとんど水と同じ程度の温度まで低く出来るように改良(ジェニーの要望)。


 実はこの改装、個人的には風遊美さん対策だったのだが、ぬる湯を50センチ拡大しても結局何も変わらなかった。

 何故なら風遊美さんが俺を基準に前と同じ間隔でぬる湯に入ってくるから。

 俺が端に逃げても同じ間隔に詰めてくる。

 下手に樽湯に逃げてもこの前と同じ状態になりかねない。

 だから結局現状維持だ。


「取り敢えず最初の行事は無事に乗り切れました。ありがとうございました」


「いえいえ風遊美さんこそお疲れ様でした。挨拶もあるし会長が一番大変でしょう。それに風遊美さんとジェニーのお陰で今年は助かりました」


「今年は特に留学生が多かったですしね」


 元々この高専は留学生が多い。

 俺達の代でも3割は留学生だ。


 元々この島全体が国際的な魔法使いの避難所アジールとして機能していることもあって、隣の魔技大ともども留学生を積極的に受け入れている。

 今年は校舎改築工事が終わり高専の定員が増えたのだが、その増えた分のほとんどが留学生だったりする。

 実に入学者205名中82名が留学生。


 特区自体も日本以外の出身者が多い。

 教師陣もバイリンガルやトライリンガルが多い。

 だから留学生もある程度の日本語が使えれば不自由はないらしい。

 ただ説明の際、微妙なニュアンスやら何やら伝わりにくくて困る事もある。


 その点今年は、

  ○ ジェニーが英語とフランス語

  ○ 風遊美さんがスウェーデン語とドイツ語と英語

を使えるので色々とスムーズに行った。


 学校案内は集会形式で概要を簡単に説明した後、学校内を歩きながら施設や各教室等を紹介する。

 例年は言語の違いや文化の違い等で上手く説明できない場合が多々あった。

 でも今回は留学生組は使用言語で分けてジェニーと風遊美さんにそれぞれ引率してもらい、日本語の他に各言語で説明してもらった。

 部活や各研究会や執行部等の説明も、必要に応じて各言語で解説した。

 これは参加者にも各研究会等にも好評だったようだ。


「あとは研究会や部活の補正予算折衝と、学生会うちの新人募集ですね」


「程よい人数が来てくれれば嬉しんですが、難しいです」


「ジェニー制作のWebページは絶好調みたいですけれどね」


 ジェニーが制作している魔技高専学生会HPは既に学校や学生会の紹介という範囲を超え、掲示板や生活百科、リンク集や知恵袋的共助ページも加えた一大ポータルサイトになっている。

 PVも既に一日あたり総計で万を超えているらしい。

 そのうちサーバを管理している魔技大の情管から苦情が来るんじゃないだろうか。


 と、寝湯にいたジェニーがこっちを向く。

「今度の月曜の放課後、学生会の見学に3人来るれすよ」


 何だって!

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