第140話 小話2の7 噂蔓延る掲示板
ジェニーはビクッと身体を震わせ、そしてこっちを向く。
「驚いたのれす。急にどうしたれすか」
「まさに今描いているイラストのことで、話があるんだけれど」
そう言いつつとっさにウィンドウを最小化しようと動かしたペンを取り上げる。
「これって何処のイラストかな」
「ははははは、何のことれすか」
ジェニーは笑って誤魔化そうとするが誤魔化しきれていない。
「この件で今日、探検部からの取材があった」
「思ったより早かったれすね」
お、ジェニーが開き直った。
「でも、イラストは私れすけれど、噂そのものは私れはないれすよ」
ジェニーはそう言ってマウスで別のウィンドウを立ち上げる。
開いているのは文字中心の掲示板だ。
タイトルは『魔技高専の噂掲示板』とある。
「確かにイラストを描いたのは私れすし、この掲示板を開設したのも私れす。
でも、ほとんどの噂は掲示板に投稿された噂で、私が作ったものれはないれすよ」
俺は掲示板を覗いてみる。
『スレッド010 学生会について語ろう
001 名無し高専生 180308 18:17
このスレは高専内で暗躍している学生会について書き込むスレです。
確認未確認デマゴギー何でもいいから書き込もう』
『002 名無し高専生 180308 18:19
2GET』
『003 名無し高専生 180308 18:30
今年の監査役はホモ。あれだけ女子ばかりなのに誰も手をつけていないのが証拠』
『003 名無し高専生 180308 18:33
長津●君はホモじゃないよ、メカフェチだよ』
『004 名無し高専生 180308 18:35
元会長の由香里お姉さまに虐められたい』
『005 名無し高専生 180308 18:36
それより俺達の研究会に金よこせ。今年度は予算2割削られたぞくそ』
何か頭が痛くなるような書き込みが続いている。
「どの辺りに工房の件が出てくるんだ」
「330位かられすよ」
俺は画面をスクロールさせる。
『331 名無し高専生 180310 09:38
そう言えば校舎の裏の倉庫みたいなの、あれ学生会の工房だってか。学生会が何故工房なんて使うんだゴラ』
『332 名無し高専生 180310 09:40
あれは近づいてはいけません。1月に警察と自衛隊が来て何やら調べていました。暫くの間立入禁止になっていました。あれは危険です』
『333 名無し高専生 180310 09:40
何が危険なんだゴラ、言ってみい』
『334 名無し高専生 180310 09:41
立入禁止のロープの外から見たんですが、所々に血のような赤黒い痕が見えました。実際血の匂いもしていました。補助魔法科医療専攻なので自信あります』
『335 名無し高専生 180310 09:42
俺も見た。でっかい机から血らしきものがたれていて下の床に染みになっていた。あとその机の奥に抜き身の日本刀が見えた。ひょっとして誰か生贄の儀式でもしたんじゃね』
『336 名無し高専生 180310 09:42
あの時結構野次馬いたよね。あと右の方はずらっと祭壇のようにバネが並んでいて不気味だったの。あれは私の見間違いかなあ』
『337 名無し高専生 180310 09:43
あと奥の方で何か真っ赤に燃えているのを確認。1000度は超えている。俺のファイアボールより熱そう』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます