第135話 小話2の2 ジェニーの特技(1)
その日から、ジェニーは部屋にこもる時間が増えた。
今までは割と遅くまで露天風呂やリビングにいたのに、割と早めに自室に引っ込むようになった。
まあ俺も割と自室引きこもり型なので気づかなかったのだが、ポスター作成から3日後の夜、夕食時に香緒里ちゃんがジェニーに尋ねたので気がついた。
「ジェニー、最近部屋から出てこないけど大丈夫?」
ジェニーはにっこり笑う。
「最近お絵かきあまりしていませんれしたが、やっとカンが戻ってきたれす。HPも大分出来て来ますた」
表情を見るに自信がありそうだ。
「なら皆で見てみようぜ」
奈津希さんの意見に全員が賛同したので、食事後皆で液晶テレビの前に集まる。
俺のパソコンと液晶テレビを接続して、ブラウザを立ち上げる。
「ジェニー、アドレスを教えて」
「検索で魔技高専と打てばでるすよ」
既に検索エンジン対策もしているらしい。
俺が検索をかけると公式のHPのすぐ後に『魔法技術高専 学生会公式ブログ』というのが出てくる。
検索順位も既に上位だ。
「これでいいのか」
「そうれす」
との事でクリックしてみる。
途端に派手な画面が現れた。
寄席とか落語とか笑点を想像するような赤と黄色と黒と緑のしましまの幕。
千客万来と書かれている赤提灯の列。
後ろ中央に『魔技高専学生会』と勘亭流で書かれている額。
そして座布団の上に乗っかっている萌え絵風の招き猫娘が6人横に並んでいる。
間違ったジャパニズム満載の絵だが上手いし良く描き込んである。
「これ全部、ジェニーが描いたのか」
「文字だけはフリーのフォントれす」
つまり絵は全部ジェニーが描いたということだ。
「まずは左の緑色の着物の猫娘にマウスポインタをあわせてみてれす。」
合わせると緑色の着物の猫娘が巻物をばさっと広げる。
巻物には、『役員紹介』と勘亭流で書かれている。
クリックする前に他の猫娘にもそれぞれカーソルをあわせてみた。
それぞれ『学校紹介』、『生活案内』、『学生会活動』、『じぇにい日記』、『りんく』と文字が出てくる。
「凝っているなあ、これ」
奈津希さんが感心している。
「ジェニー、どれがお勧め?」
「まずは役員紹介れす」
との事で俺は最初の猫娘をクリック。
画面が変わって教室風になる。
そこに4頭身くらいにデフォルメされた5人が横並びに並んでいる。
「割と似ているです」
「確かに、誰か一目でわかるわね」
萌え絵にデフォルメされてはいる。
でも知っている人が見ればどれが誰だか一目瞭然だ。
俺は何の気無く風遊美さんと思われる白髪緑瞳のキャラをクリックする。
下に解説が出てきた。
『学生会会長 攻撃力B 防御力A 魔力A+ 機動力A+ B78W55H78(じぇにい推定)補助魔法科4年。総合戦闘力は学生会最強。北欧出身で謎が多い。むっつりとの噂あり』
「何ですかこれ」
「スリーサイズはジェニーの推定れす。間違っているれすか」
「大体、あっています……」
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