第9章 おまけの章 冬終わり頃の記念日

第122話 単なる期末試験の日

 2月14日水曜日。

 学期末試験2日目。


 俺は基本的に試験勉強はしない主義だ。

 試験期間は試験中に思い出せなかったり失敗した部分を復習するだけ。

 だからいつもより勉強時間は少ないし一夜漬け等からも無縁だ。


 今日も試験時間前だがまったりとパソコンで対戦型ライフゲームの生存アルゴリズムをいじっている。

 セルオートマトン型の放置型対戦ゲームだが、これがなかなか奥深くて面白い。


 なお世間では2月14日はバレンタインデーとされているらしいが、あまり俺には関係ない。

 今まで関係者全員配布型を含め、もらった相手は片手で計上可能だ。

 ちなみに2進数を使えば0から31まで片手で数えられる。

 使う必要も無いけれど。


 魔法工学科の面々も理系な為かあまりチョコ収集しているような感じはない。

 むしろ皆で牽制しあっているような空気すらある。

 5人しかいないクラス内女子も甘い雰囲気を出している感じはまるでない。

 まあこのクラスにはクラス内カップルがいないせいもあるけれど。

 そんな空気のまま、3限までの試験時間が微妙に重苦しく過ぎていく。

 

 本日は学生会もお休み。

 なのでテストが終わっても行き場所がない。

 むしろ学校内に残っているとテストに関して不正が疑われる可能性すらある。

 そんな訳でのんびり1人でマンションへ。


 校内のあちこちで渡したり渡されたりの儀式が行われている。

 でも気にしてはいけない。

 リア充死ねとか思ってもいけない。


 むしろ生温かい目で見てあげるのが正解だろう。

 彼らはきっとこの先色々いらぬ苦労をするのだろうから。

 彼らと彼女らの行く末に呪いあれ。

 あ、ちょっと本音が出てしまった。


 幸いうちのマンションの台所は、今朝もチョコレートの臭いはしなかった。

 多分俺にはバレンタインは無縁なんだろう。

 例年通りだと由香里姉と香緒里ちゃんからチョコを貰って終わり。


 まったりのんびり帰ってみると、まだ誰も帰ってきていない。

 4限まで試験がある香緒里ちゃんやジェニーはともかく、由香里姉は帰っていてもいいのだが。

 特にやることもないので、自分の部屋で今日のテストの反省箇所の復習でもすることにする。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る