第121話 日常
放課後の俺の工房。
実態は香緒里ちゃんのバネ工場と化しているけれど。
今は休憩時間で、俺はパソコンで適当にWebの掲示板を見ている。
そこでちょっと気になるニュースを見つけた。
某国の軍においてごく最近立て続けに事故が発生しているというニュースだ。
主だったものだけでも
・ 最新鋭防空駆逐艦と新造空母が接触し双方座礁
・ 飛行場の格納庫が突如崩壊し最新鋭戦闘機20機以上が被害。
・ 最新鋭戦車が突如出来た地割れ等にはまり10台単位で損傷
等々。
不思議と死者や重傷者は出ていないらしい。
まああの国の発表はあてにならないけれど。
そう言えば襲撃の件で大変お怒りだった田奈先生が、研究室で某国の軍事関連が記載されたWebページを見ながら、
「どれにしようかな……」
とか言っていたという噂をごくごく最近聞いたような気がする。
関係は無いよな、多分きっと。
他にも某国の中央軍事委員会の半数が入れ替わったとか軍総参謀部の人事が大幅に動いたというニュースもあったがこれも俺達に関係ない話だ、おそらくは。
あの事件以降はごくごく平和。
俺の手も腕も全く問題ない。
「さあて、そろそろ再開するれすよ」
ジェニーがそう言って梱包をときはじめた。
「今日はどれ位やるの」
「来月頭に期末試験があるから、そのあたり分までやっておきたいです」
俺は試験勉強はしない派だが、それを強要する気は無い。
しかし。
「今日中であと50個は、厳しくないか」
「魔力的には問題ないです」
薊野姉妹は双方とも俺と基礎魔力の量が段違いだった。
それを改めて実感。
梱包作業をしながら香緒里ちゃんの方を見る。
バネを1個1個並べながら手を添えて魔力を付加している。
香緒里ちゃんの自我から戻って来た後も。
香緒里ちゃんと俺との関係は全く変わらない。
周りの扱いも何も変わっていない。
この工房のシャッターは新たに学校の経費で修理された。
学校側としても着実に利益を生んでいるバネ工場に理解を示してくれたようだ。
まあ田奈先生が強烈にプッシュしてくれたおかげもあるけれど。
ついでにシャッターと倉庫壁に耐爆破・耐衝撃用の魔法も付与してある。
まあ戦車砲とかには流石に耐えられないとは思うけれどさ。
「修兄、作業遅いです」
香緒里ちゃんから文句が出る。
いつの間にか梱包待ちのバネが溜まっていた。
いかんいかん。
俺は色々考えるのをやめ、梱包作業に集中することにした。
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