第114話 呪縛
倒れた俺の視界に映ったのは、爆破か砲撃で破壊されたシャッターと侵入してくる男達だった。
服装こそ普通の服で偽装している。
でもカービン銃らしき物を構え突入してくる姿はまんま軍隊だ。
幸いこちらは現在のところ全員無事。
ジェニーの魔法はまだ生きているし改造エアガンも間近にある。
俺は香緒里ちゃんとジェニーに一番近い侵入者をフルオートで撃つ。
脚にあたり倒れたのを確認すると同時に次の目標へ。
反対側の敵は鈴懸台先輩が対応しているのがジェニーの魔法でわかる。
だから俺がやるべきはこちら側から香緒里ちゃん達に近づく敵の排除。
エアガンを連射しながら侵入者の銃に俺の魔法をかける。
修理の逆、動作不良の魔法。
予定通り銃撃音が一切途絶える。
よし、と安心したのもつかの間。
侵入者らは銃を手放し巨大なナイフを取り出す。
そして、俺と香緒里ちゃん達に2人ずつ同時に飛びかかった。
俺のエアガンは香緒里ちゃん達の方を向いている。
だからどちらを優先するかは迷わなかった。
横からの掃射で香緒里ちゃん達を狙った2人は倒れる。
だが次の瞬間、衝撃が俺を襲った。
◇◇◇
一瞬気を失っていたようだ。
俺の視界に見えるのは工房の床。
ジェニーの魔法で工房内の全ての人の動きが止まっているのがわかる。
風の音すら聞える静けさの中、知っている声が響いた。
「今貴方達を始末するのは簡単ですが、それでは同じ事の繰り返しになるでしょう。
だから私は私の大切な人を傷つけた怒りをもって、貴方達に呪縛をかけます。
黙って帰り命令系統に従って淡々と作戦失敗を報告するがよいでしょう。
命令権者の元に作戦失敗の報告が届いた時、貴方方は私の怒りを後悔とともに知ることになります」
急に騒音が戻る。
おそらく侵入者が撤退する音。
俺は起き上がろうとして違和感を感じる。
違和感を確認するため俺は手を前に出そうとして気づいた。
手が、無い。
右腕の肘から先と左手首から先。
あたりをよく見る。
俺の手が両方ついた改造エアガンが俺の視線の先に転がっていた。
成程、襲撃者に切られた訳か。
随分と鮮やかな手口だな、と俺は他人事のように思う。
痛みもあまり感じていない。
出血は結構激しいけれど。
今の様子だと俺以外には怪我人はなさそうだ。
ジェニーの魔法の効果でそれもわかる。
ならばまあ、一安心だ。
まだ痛みは感じない。
脳内麻薬ががっぽがっぽ出て痛みを打ち消しているのだろう。
あ、でもちょっと意識が薄くなってきたかな。
そして回りは全て白になる。
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