第50話 小話1終話 お●●い星人と長い夜

 振り向くと、目の前におっぱいがあった。


 大きい。

 この前見た香緒里ちゃんのは片手で片方が収まるサイズだったが、これだと片方に両手が必要だ。

 身長や体格は香緒里ちゃんと同じくらいなのだが。


 あ、いけない、直視してしまった。


「今日は私と一緒のベッドす。よろしくす」

「よろしく」

 視線を外しつつ軽く頭だけ下げる。


 正直今の衝撃で健康な男子おれは身体に異変が発生中。

 まずいと思いつつ横目でそれを見てしまう。


 大きいけれど形のいい白い膨らみ。


 いやいやいやいやまずいって。

 せっかく露天風呂でも地蔵化できるスキルを習得しかけていたのに。


「こういった大きい御風呂ってのはいいすね。何かのびのび出来るす」

「でしょ。たまにこれをやらないとストレス溜まるのよね」


 そう言って両手を思い切り上に上げて伸びをする由香里姉。

 その姿勢のお陰でおっぱいが丸見え。


 それほど大きくないけどいい形。

 手のひらで全体を揉めそうなある意味お手頃サイズ。


 いかん、今の巨乳ショックでおっぱい星人になりかかっている。

 視線が香緒里ちゃんや鈴懸台先輩、ちっぱいの月見野先輩までロックオンしかけている。


 これはまずい。

 戦略的撤退だ。


 俺は下半身がお湯の上に出ないよう、中腰でバス側の湯船の端へと移動する。

 途中伸び切っている鈴懸台先輩の身体が見えた気がするが振り返ってはいけない。


「久しぶりでのぼせたんで先に失礼します」

「早いね。まあ夜は長いし何回入っても大丈夫だけれどね」


 由香里姉の早いねも別の意味に聞こえてしまう脳味噌エロエロ状態。

 急いでマイクロバスに戻ってタオルで身体を拭いて短パンTシャツ姿に着替えて一安心。

 本当は自己処理して賢者モードに進化したいところだが、見つかるとマジ公開処刑になりかねないので我慢だ。


 マイクロバスの窓を全部開けて風を通す。

 テーブルを片付けて2人用ベッドへ座席を変形させる。

 カバー代わりのタオルケットを敷いたら取り敢えず完成だ。


 俺は壁側に密着するように横になる。

 壁の冷たさがちょっと気持ちいい……


 ◇◇◇

 

 ふと目が覚めた。

 横で誰かが動いている。


「ごめんなさい、起こしてしまいまたか」

 ジェニーだ。


 ちゃんとTシャツを着ている。

 先輩達と違ってまともだ。


「大丈夫だけど、何しているの?」

「足の付け根が蒸れたから外しているす。寝る時は外すすから」

 確かに義足のソケット部分のライナーは身体に密着しているから蒸れるだろう。

 そう思ってふと気づく。


 あの義足のソケット部分はお尻近くまでカバーしていたよな。

 パンツをはいたまま着脱は出来ない筈。

 つまりジェニーは現在ノーパンである。


 おいおい不味い。

 寝た子を起こしてどうする。

 しかもTシャツのふくらみからみてノーブラだぞ絶対。

 突起部がシャツの上からでもわかるし。


「それでは、おやすみなさいす」

 そう言ってあっさりと寝に入ったジェニー。

 すぐ横で気配と呼吸する息と体温を感じる。


 そうして。

 生殺しの長い長い夜は始まったのだった。

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