第43話 小話4の9 ラッキースケベはいりません!

 バスに入ったまま5分位経っても出てこないので。

 俺は様子を伺ってみることにした。


「おーい香緒里ちゃん、大丈夫か?」

 マイクロバスの中へ呼びかける。

 応答がない。


「おーい、大丈夫か?」

 やっぱり応答がない。


 嫌な予感がする。

 俺はマイクロバスの中へ入ってみた。


 そこには床の上に放り投げられたビキニの上下とタオル。

 そしてテーブルに広げたスケッチブックに向かって何かを書き連ねているような姿の香緒里ちゃん。

 全裸だ。


 全てを察した俺は気づかれないようにマイクロバスの外へ出る。

 状況はもう俺にはわかっていた。


 おそらく香緒里ちゃんは何か作りたいものを思いついて、メモを取りたくてマイクロバス内へ来たのだろう。

 そしてメモを取ろうといつものスケッチブックとペンを取り出す。

 しかし思いつきの内容が長くてテーブルに向かって書きたくなる。


 でも水着が濡れていて直にシートに座るのはちょっとためらわれた。

 そこで水着を脱ぎ捨てタオルで体を拭いた後、思いつきを忘れないうちにと急いでメモを書き始めた。

 とにかく忘れたくなくて時間を惜しんで。


 謎は全て解けた!


 紳士な俺は何も見なかったことにして、足音を忍ばせてマイクロバスを出る。

 幸い香緒里ちゃんは俺に気づく事は無かった。

 凄い集中力だ。


 俺は無事マイクロバスを出て砂浜に腰掛ける。

 ちょっと向こうに気絶中の2人が見える。

 肩と腹の動きからちゃんと呼吸をしているのが分かる。

 うん大丈夫だ。


 しかしそれを見て、ふとさっき見てしまったものを思い出してしまう。

 小さくてもぷるんとした形のいいおっぱい

 ちょっととんがったその先。

 そして足の付け根に見えた薄い毛の茂み。

 いやいやまずい、まずいって。


 俺は海へ入り、海水で体を冷ましながら。

 ただひたすら時が経って落ち着くのを待つのだった。

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