1.2

 退屈だ。


 かれこれ2時間半はヘリお迎えを待っている。


「オ嬢、来マシタヨ。」


 Maydayの報告を聞き、やっと来たか・・・と腰を上げ、バタバタと騒がしいヘリへと近づく。


「あら、コプターじゃない。」


「『Aエース』の姉御クイーン、久しいですな。あと『コプター』ってのはやめてくだされ。わしゃ『ドローン』で通ってるんでね。」


「ヘリばっかり運転してるからじゃない。あと、ドローンって呼ぶ方が侮辱バカにしてない?比喩的に『ジゴロ』って意味だし。」


「まったく、姉御クイーンの口と耳には敵わんな。都合の悪い言葉は入らないし、入ったとしても口で都合良く変換しちまう。」


 それが私よ、とヘリに乗り込む。やっと休めると思うと自然と肩が軽くなった気がした。


 今回の敵は特に面倒だったな、と改めて思い返す。あんな入り組んだ土地で、しかも狙い撃ちスナイピングされそうになっていた自分に同情するほどだ。


 ヘリに乗っている間、Maydayには睡眠状態スリープモードに移行してもらった。いくらAIといえど、データの整理や処理などの意味合いで、いくらかの休息が必要なわけで。


 Maydayすらそんなということは、つまり私もそれぐらいかそれ以上のということだ。要するに眠い。


 ウトウトとして、眠りにつこうと首の力を抜き、頭をぶら下げようとした時、コプターの口が開いた。


「そういえば姉御クイーン、今回の標的ターゲット、なかなか面白いなやつらですぞ。上空からやつらの基地ベースらしきビルを見てみたら、『SAMURAI』と書かれた側上げているんですわ。」


『SAMURAI』、何処かで聞いたことがある。『KATANA』とかいう刃物を振り回して戦う兵士だったか。


 確かに、今回の標的ターゲットは『日本防衛連合』とかいう、私らの所属する『世界調停軍メディエーターズ』に反旗を翻した日本という国固有の文化大切好き好き大好きの小規模勢力だった。


 そんな小規模なら勝手に消滅するだろうに、何故私達に直接殺させようとしたのだろう。


 のものがあったのだろうか。


「ねぇコプター、そいつらに関して何か変な噂とか聞いたことない?」


「変な噂・・・?うーーむ。あぁ、やつら、近頃無駄に周辺の勢力に喧嘩を売ってたと聞いたことがあったような・・・。しかし姉御クイーン、なんでそんなことを?」


 駄目元で聞いてみるのも、案外当たるものだなと自分に関心する。


「いいのいいの、気にしないでコプター。私もう寝るから。」


本当ホント、毎度都合の良い女王様クイーンじゃなぁ。」


 私が眠りに着く頃には、ヘリはもうすぐ基地に着く頃だった。















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〈 Mayday 〉 徹乃掟 @tt_829

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