3.幼馴染みはやめておけ
東頭いさながやってくる。「何を警戒することがあるんです?」
今にして思ってみれば若気の至りとしか言いようがないが、僕には中学2年から中学3年にかけて、彼女というものが存在したことがある。
僕にしろあいつにしろ、本来は恋人なんて作るガラじゃあなかったのに、どうしてそういう運びになったのかといえば、とある共通項が、僕たちの間を繋げてしまったからに他ならない。
人類史上最大の発明。
人間の霊長たる証明。
文明社会の根本基盤。
すなわち、本である。
小説を読むこと。その共通の趣味が、生来のソロプレイヤーだった僕たちをうっかりひとくくりにしてしまった――その功罪についてはここでは論じないが、とにかくそんな風に結びついていた僕たちが、普段、どういう風に交流していたかは明白だろう。
読んだ本について感想を交わし。
読んでいない本について希望を語らい。
そして、互いの蔵書を貸し借りした。
……実は、この辺りの交流については、恋人から義理のきょうだいへとクラス・チェンジを果たした今も、地味に続いていたりする――まあ、今の僕たちの場合は、
読んだ本について批判を応酬し。
読んでいない本について文句をぶつけ合い。
そして、互いの蔵書を勝手に持ち出しては罵倒を交わす。
といった具合なのだが、そこはそれ、読書家としての付き合いという点においては何の違いもないだろう。忌憚なく意見をぶつけるようになった分、むしろ進化していると言える。
閑話休題。
お金のない中学生だった僕たちにとって、本の貸し借りは結構大切なことだった。タダで本を読めるわけだし、何より、間違いなく相手も同じ本を読んでいる、ということが重要だった――読んで楽しめるだけじゃなく、感想を語り合うことまでできるのだから、一石二鳥では収まらない。
僕らにとっては小説こそが、LINEをも超えるコミュニケーションツールだった。
……が。
こんなやり取りをしたことがある。
――そのシリーズ、全部うちにあるな
あの女と――当時の綾井結女と一緒に、古本屋を巡っていたときのことだ。
ある古い推理小説のシリーズを探していると語った彼女に、僕はそう言ったのだった。
――えっ、ほんと?
当時のあの女は喜色を表情に浮かべた。
――うん。よかったら貸すけど……
――ありがとう! 本当に見つからなくて……
――それじゃあ
僕は、何気なく。
その瞬間は本当に何気なしに、言ったのだ。
――これから、うちに寄っていこうか
――……うえっ?
と。
綾井は、歯車が狂ったかのように急に固まった。
――い……伊理戸くんの、お家?
――……? うん
――えっ……と。えっと、えっと
急に前髪をくしくしと手櫛で梳きながら、綾井は顔を伏せて身を固くした。
この期に及んで、愚かなる僕はようやく気付く。
自分が、彼女を家に連れ込もうとしたという事実に。
――あっ……あー。えっと……
――うー……ん、と……
古本屋の狭い通路で、相手の出方を見るかのように意味のない呻き声を繰り返す中学生男女。
思い返すだにいたたまれない無様を1分以上にも渡って晒し続けた末、僕らはちらりと視線を交わし合い、どちらともなく愛想笑いを浮かべた。
――……あ、明日、学校に持ってくるよ
――……う、うん。ありがと……
……認めよう。
現在の、この僕をして認めよう。
綾井結女と同じ部屋で、何を話すでもなく好きな本を読んで過ごすのは、きっと楽しい体験だったに違いない。
にもかかわらず、僕たちが尻込みしたのは――
恋人だったからだ。
恋人と同じ部屋で過ごす、というシチュエーションには、読書家として以外の意味が籠もってしまうからだ。
だから、もし、恋人でさえなければ。
中学生らしい思春期に目を眩まされずに、読書友達として程良い関係性であったなら。
僕たちはまだ、あの頃のままでいられたんじゃないだろうか……。
そう思うこともあった。
東頭いさなに出会うまでは。
※※※
「水斗くんの本棚が見たいです」
放課後の図書室。
いつもの定位置である、窓際空調機。
いろいろあったがなんだかんだで女友達に落ち着いた東頭いさなが、不意にそんな発言をした。
「……は? 僕の本棚?」
「ほら、わたし、水斗くんにフラれたじゃないですか?」
「お、おう。自分で言うのかそれ」
「そこで考えたんですよね。フラれたってことは、脈ナシが証明されたってことじゃないですか。だったら、女子であるわたしが男子である水斗くんの部屋に入ってもセーフじゃないですか?」
「お、おう……?」
じゃないですか? と言われたら、確かに、と返してしまいそうになる。
こいつの言うことにはいやに説得力がある。口下手のくせに話の筋道だけはすっきりと通っているというか。
「……いやいや、待て東頭。その説明と本棚が見たいという話がどう繋がるんだ?」
「見たいのはただの欲望で、別に理由とかないんですよね。ただ見たいんです。強いて言えば、どのラノベのどの挿絵のページに癖がついているかを確認したいですね。中学生、または小学生の水斗くんの性を目覚めさせたのはどのヒロインなんだろうってね」
「『ってね』じゃないんだよ。それを確認してどうするつもりなんだよ」
「嫉妬でもしたら萌えてくれますか?」
「萌えないよ。燃やしてやるよ、君を」
「それもまた萌えですね。最近は流行ってますからね、エルフとか勇者の村を燃やすの」
「それは昔から流行ってるし、一方『萌え』って言葉はもう流行ってないぞ」
「ええ……? 今風に言い直せってことですか?」
「別にどうだっていいが……」
「嫉妬でもしたらシコいですか?」
「恥じらいどこ行ったんだ女子!」
巨乳下ネタ系女子の東頭いさなは、アメリカ人みたいに肩を竦めた。
「やれやれですね水斗くん。今時、女性の性欲の存在を認めないなんて。ついこの間まで、わたしにとっては水斗くんが一番の激シコだったというのに。最高のシコリティだったというのに」
「男女に拘わらずそういう話は聞きたくないタイプなんだよ……!」
僕は耳を塞いだ。
東頭は僕の股間を見つめた。
「……ごくり」
「マジでやめろ! 友達やめるぞ!」
「ごめんなさいごめんなさい冗談ですもういやらしい目で見ません!」
僕以外に友達のいないぼっち女・東頭いさなは涙目になってすがりついてくる。その拍子に、自己申告ではGカップだという巨乳がむにむにと二の腕に当たるが、この間とは違っておそらく無自覚だろう。
慣れない誘惑をしていたあの頃より、今のほうが一億倍厄介なんだが。
「ますます本棚を見せるのが嫌になってきたな……。君を家に入れるってことだろ? 思いっきり貞操の危機だろ」
「ご安心ください。賢者モードになってから行きます」
「さっきから聞きたくないことしか言わないな君は」
「まあ単純にですね、水斗くんってすっごい古いラノベも持ってそうなので、その辺りちょっとお借りしたいな、と」
「古いって、どの辺りから古い判定なのか微妙だが。君、この前ハルヒ読んでたよな」
僕らの世代からするとハルヒは充分古典の範囲なんだが。
「まあ別に、それだけならいいけどさ……。でも、君のほうは大丈夫なのか?」
「はい?」
「だから……一応は男子の家に、一人で上がり込むってことに、こう……警戒とかしないのか」
「はぇ?」
まったく意外なことを聞いたという風に、東頭は首を傾げた。
「この前フラれたのに、何を警戒することがあるんです?」
その瞳は、純真な、何も疑っていない輝きを宿していて。
僕はもう、それ以上は何も、反論を思いつかなかったのだった。
「ほほう。ここがあの男のハウスですか」
「隣にその男がいるんだが」
学校から東頭を連れて直帰してきた。
途中、東頭が『それじゃ、ちょっくら賢者に転職してきます!』と別行動を取ろうとした事件があったが、未然に防ぐことができた。
「本当によかったんですか、水斗くん? わたし、遊び人のままですけど」
「いざとなったら男としての本領を発揮するよ」
「おっと。すみません、そういうことでしたらコンビニか薬局行ってきていいですか」
「筋力をもってして抵抗するって意味だよ!」
あの告白以来、ますます男友達っぽいノリに拍車がかかっている気がする。何なら川波小暮よりも男友達っぽい。
東頭はぼやっとした目で伊理戸家の門構えを眺め、
「このお家に、先生も住んでいるんですよね?」
「先生?」
「あっと、すみません、結女さんのことです」
「僕の知らないところで何がどうなってんだよ君たちは……」
東頭の僕への告白に、あの女と南さんが一枚噛んでいるということまでは掴んでいるのだが、具体的にどう関わっていたのかまでは、連中、頑なに喋らない。
「あいつは、まだ帰ってないと思うけどな。放課後は大体、南さんたちと遊んでるか、本屋に寄ってるか、自習室や図書館で勉強してるかだから」
「へえ~。せっかくなのでめくるめく義理のきょうだい生活を見物していきたかったんですけど」
「僕らの生活を見世物みたいに言うな」
あの女がいない時間帯なのは不幸中の幸いと言えるだろう。もし東頭を家に連れ込んだなんて知れたら、一体どんな難癖をつけてくるか。
僕は東頭を連れて、玄関のドアを潜った。
特に『ただいま』は言わない。この時間はいつも誰もいないからだ。
「……お邪魔しま~す……」
一方、東頭のほうは、遠慮がちながら僕の背後でそう呟いた。他人の家に入ることで人見知りモードが発動したらしい。
東頭的にも、家に誰もいないのは好都合だったかもな。
僕的にも、女子を家に連れ込んでいるところを見られるのは勘弁だが。
「じゃあ東頭、先に部屋行っててくれ。階段上がって左のドアだ。僕は何か飲み物用意していくから」
「あっ、はい。りんごジュースがいいです」
「リクエスト出すのに躊躇なさすぎるだろ」
そこは『お構いなく』なんだよ、普通。
りんごジュースなんてあったかな、と思いつつ、僕は靴を脱いでリビングのドアに足を向けて――
「……え」
「ん?」
不意にドアが開いて、その女と鉢合わせになった。
その女――すなわち、僕の義妹である伊理戸結女は、僕の顔を見て、それから僕の後ろの東頭を見る。
そしてまた、僕を見た。
東頭を見た。
僕を見た。
東頭を見た。
何度も何度も、僕ら二人の間で視線が往復する。
「あ、なんだ、いるじゃないですか。こんにちはー、結女さん」
「あ、うん、こんにちは――じゃなくて!」
結女は慌ててリビングへのドアをぴしゃりと閉めると、猛然と僕に詰め寄った。
「(何よこれ、どういうこと……!? なに連れ込んでるの!? この前フッたばかりでしょ!?)」
「(まったくもって仰る通りなんだが、いつの間にかこういうことに)」
「(なんでその子にはあっさり言いくるめられるのよ、あなたは……!)」
ところで、なんで声を抑えてるんだ?
「(早く帰ってもらって……!)」
「(おいおい。それはさすがに失礼だろ。いくら気に食わないからって)」
「(じゃなくて! 今はマズいの! 今日は珍しく――)」
そのときだった。
リビングの中から声がした。
「水斗くんが帰ってきたの~?」
「おおい、水斗ー。ただいまくらい言えー」
それは。
僕の義理の母親と、実の父親の声だった。
「………………!!」
ぶわりと、全身から汗が噴き出す。
東頭を連れてきたことを、結女に知られるのはまだいい。こいつは僕と東頭がいかがわしい関係にないことを知っている。
しかし。
しかしだ。
父さんと由仁さんが、もしこの状況を見たら……!
「ひ、東頭! 悪いが今日は都合が――」
「?」
不思議そうに小首を傾げる東頭を、急いで玄関の外に押し出そうとした、その寸前だ。
リビングのドアが開いた。
「水斗? 返事くらいしろ――ん?」
父さんが顔を出し。
東頭いさなの姿を、はっきりと目撃した。
「んん? んんんん、ん? 女の……子?」
東頭を見て、僕を見て、結女を見て。
「結女ちゃんの友達……? いや、今、水斗と一緒に……?」
両目の中にハテナマークが乱舞する。
父よ、僕が女子と一緒に帰ってきたのがそんなに信じられないか。
「あ、あ、えっと、お邪魔、します……」
東頭がテンパった様子で、軽く頭を下げた。
「水斗くんの、友達、の、東頭いさな、ですっ」
「あ、ああ……そうか。友達か。いや、てっきり、あの水斗が彼女を連れてきたのかと」
「い、いえいえ! もうフラれてますから!」
「…………んん?」
すべては、僕と結女がフリーズしている間に始まり、そして終わった。
「この前すっぱりフラれちゃったので今はただのお友達です! ご心配なさらず!」
東頭による容赦のない死体蹴りにより、ようやく時が動き出した。
「ゆっ――由仁さぁーんっ! 水斗がぁーっ! 水斗が元カノ連れてきたぁーっ!!」
「えっ!? 何それ詳しく!!」
父さんがリビングに駆け戻るのを見るにつけ、僕は東頭の腕を引っ張って自室への階段を駆け上った。
「……あの。なんでわたし、水斗くんのお父さんに元カノだと思われたんですか?」
自室に逃げ込んで頭を抱える僕に、東頭はきょとんと首を傾げて言った。
「……君なあ……。『この前フラれたので今はいいお友達です』って言ったら、大体はそう思われるだろ……」
「なる……ほど?」
「わかってないな……」
やっぱりこいつ、感性がズレてるよ。
東頭は手の甲まで隠したセーターの袖で口元を隠し、目元だけでによによと笑う。
「どうせ勘違いされるなら、今カノのほうがよかったですけどねー。いろいろと捗ります」
「いろいろってなんだ――いやいい、聞きたくない」
僕は溜め息をついて、額に手を当てる。
どうせ勘違いされるなら――か。
よく考えてみると、東頭のことを元カノだと勘違いさせておくのは悪くないかもしれない。そうしておけば、実は結女が本当の元カノであるという事実に勘付かれにくくなる。ミスリードってやつだ。
まあ、東頭に『僕の元カノのフリをしろ』と言うのは無理だと思うが……。
「おおー。本だらけできったない部屋ですねー。とても落ち着きます」
僕が頭を悩ませているのをよそに、東頭は本のタワーをすいすいと避けて、本棚の前に移動した。
「おおー、ほんとにラノベから純文学まで……。本棚は持ち主の心を表すとかよく言いますけれど、この場合、水斗くんの心はどう言えばいいんですかね。八方美人?」
「人聞きの悪いことを言うな。僕は零方美人だ」
「わたしにだけ甘い一方美人になってくれてもいいんですよー? ほら、わたし、感情としてはまだ水斗くんのこと好きなので」
「……………………」
「うわあ! 本気で対応に困らないでくださいよ! 冗談ですから!」
誰だって困るわ。どういう距離感で接すればいいんだ僕は。
東頭が「ちょっと漁ってみてもいいですか?」と言うので、僕は「ちゃんと元に戻せよ」と答えた。
東頭はうきうきと僕の本棚を掘り返し始める。
「本棚を漁るという作業はですね、化石を掘るのに似てると思うんですよね。本棚は地層みたいなものなんですよ。知の地層、すなわち知層です」
「最後のが言いたかっただけだろ」
「掘り出した本は知の化石、すなわち――……、……」
「思いつかなかったなら素直にそう言え」
そんな風に東頭が発掘作業に勤しんでいると、コンコンとドアがノックされた。
すわ父さんか、と警戒した僕だったが、程なくしてドアがげしげし蹴られ始めたので安心する。
この乱暴さ、あの女に違いない。
「君の世界ではノックは足でするものなのか?」
ドアを開いてそう言ってやると、廊下に立っていた義妹・伊理戸結女は、ぶすっとした顔で僕を睨みつけた。
「東頭さんにいかがわしいことをしようとするあなたを諫めようと思ったのよ」
「家族が勢揃いしてる家でそんなことするか」
「……そうね。あなたが手を出すのは他に誰もいないときだけだものね?」
ふっと勝ち誇った笑みを浮かべるクソ義妹。同居生活が始まったばかりの頃、バスタオル姿で誘惑してきたときのことを言っているのだろう。
僕はばつが悪くなって視線を逸らしつつ、
「何をしに来たんだよ」
「もちろん、監視に来たのよ。東頭さんに手を出さないかどうか。友達だから」
「ふうん。友達ね」
軽々しく口にするようになったものだ、その言葉を。昔はこいつも、東頭と同じように、友達の定義から決めようとするタイプだったはずだが。
それから、結女はふっと疲れたような溜め息をついた。
「……それと、避難。もう、お母さんたちからの質問責めがすごくて……」
「あー。それは……」
苦労をかけたな。
珍しく純粋に労りの気持ちが芽生えたので、今だけは寛大な心で匿ってやることにした。
「……入れ。変に疑われるくらいなら監視があるほうがマシだ」
「そうさせてもらうわ」
結女を招き入れると、僕の本棚で発掘に勤しんでいた東頭が振り返った。
「おや。結女さんも発掘しますか?」
「なに? 化石でもあるの、その本棚?」
「本棚って地層みたいなものだと思うんですよね。知の地層、すなわち知層です」
「……ちそう?」
翻訳ものの古典ミステリが好物の女には、漢字を用いた言葉遊びの趣が伝わらなかったようだった。東頭が若干しゅんとした。わかる、わかるぞその気持ち。
「……とにかく、楽しいですよ、水斗くんの本棚。漁り甲斐があります! 結女さんはいつでもこれを漁れるんですよねー、羨ましいです……」
「まあね」
「『まあね』じゃないんだよ。勝手に漁るな。……ラブコメライトノベルをエロ本だと勘違いして勝手に赤くなってたくせに」
「あっ……あれは……!」
「ほほう。そんなエピソードが? ……あ、もしかしてこれですか? 確かにこれはエロいですよね」
「ああ違う。それはもっと過激なやつ」
「もっと過激なのがあるの!?」
東頭は僕の本棚から過激めの口絵や挿絵があるライトノベルを取り出しては結女に見せつけるという遊びを開始した。
「ほら、このイラストなんて超エロい。見てくださいこの腰つき」
「うわー……うわあああ……!」
僕の蔵書たる過激めイラスト付きライトノベルを同級生の女子二人が並んで覗き込んでいるというシチュエーションには、さしもの僕も並々ならぬ居住まいの悪さを感じたが、それを差し引いても結女の奴の初心さを嘲笑うのには絶好の機会だった。
「ぷっ。小学生かよ」
「うっ、うるさいムッツリスケベっ!!」
「確かに水斗くん、エロ推しのも意外と持ってますよね。ほら、これなんて乳首描いてあるやつですよね?」
「……えっ。ちくび?」
「オーケー東頭。そこまでにしとこう」
本棚の奥のほうに仕舞ってあった1冊の本を取り出そうとした東頭の手を、後ろから掴んで押さえた。
僕は本を買う前に中身を確認しないんだ。表紙からフィーリングで選ぶんだ。だから知らなかったんだ。
「むむう。口絵や挿絵のページに癖がついてるかどうか、確認しようと思ったんですけど」
「尚更やめろ」
「わかりました。交換条件としてそこのパソコンの中を見せてください」
「尚更やめろ!」
「わたしのタブレットの中も見せてあげますから!」
「必死すぎるだろ!」
なんで自分の身まで切ろうとするんだよこいつは!
「……あなたたち、いつもそんな……なんというか、明け透けな感じなの……?」
結女がちょっと距離を取りながら、僕たちのほうを見た。
「ええまあ。普段から最近のシコかった美少女について語り合ったりしてますよ?」
「しこ……?」
「ちょっと黙れ東頭。そいつ、本当にそういうの知らないんだよ」
「もがもがもが」
後ろから東頭の口を塞ぐ。東頭は両手をばたばたさせて暴れたが、ひ弱なオタク女の抵抗など僕でも押さえ込める。
「…………ふうん」
そんな僕たちを眺めて、結女が『ふうん』を放った。
少し拗ねたような調子の『ふうん』だった。
「……ぷはー! やれやれ、過保護なお義兄ちゃんですね。表現規制は文化を殺しますよ?」
「表現じゃなくて君を規制してるんだ」
「わーお、わたし規制対象。仕方ないですね……スケベなおっぱいを持って生まれてしまったわたしが悪いんです……」
「だからその手のボケ、突っ込みにくいからやめろって」
「唯一の取り柄なので無理ですねー」
押し上げられた学校指定のセーターをむんと張る東頭。普通はコンプレックスになりそうなもんだけどな……。こっちのほうがフィクションに毒された考え方なのだろうか。
「あ」
東頭は本棚の一点に目を留め、手を伸ばす。
彼女が手に取ったのは、表紙こそイラストだが中身には挿絵がない、いわゆるライト文芸と呼ばれるカテゴリの文庫本だった。
「この作家さんって、確かライトノベルでデビューした方ですよね」
「ああ……確かそうだな」
「ラノベしか新刊チェックしてないので観測範囲から外れてました。読んでいいですか?」
「別にいいぞ」
「うっひょっひょー」
棒読みだが字面だけは嬉しそうな声を出して、東頭はその本を胸に抱く。
そして、きょろきょろと周りを見回した。
「ええーっと……ベッドいいですか?」
「あ? うん」
……うん?
今、自分が何に許可を出したのか思いが至る前に、東頭はててっと移動した。
僕が、いつも眠っている、ベッドに。
「それじゃ、ちょっと失礼しますー」
ぼふっとお尻を下ろしたかと思うと、いつも図書室でそうするように、靴下を脱いで裸足になり。
うつ伏せに寝転んだ。
制服のスカートから、いかにも筋肉の少なそうなぷよぷよの脚を伸ばし、素足をぱたぱたさせながら、枕のところに本を置いて表紙を開く。
まるで自分の部屋かのような気楽さ。
彼女が寝転んでいるのが僕のベッドであることを、一瞬忘れかけたくらいだった。
「ちょ、ちょっ……何してるの、東頭さん!?」
「ふぇっ?」
東頭の勝手知りすぎな行動に、結女が慌てて駆け寄った。
「そ、そこ……こいつのベッドよ?」
「知ってますけど。だから許可取ったじゃないですかー」
「いや、だから、なんというか、その……何とも思わないの!?」
「えー? それは、まあ……」
東頭は乏しい表情のまま、唐突にぼふっと僕の枕に顔を突っ伏した。
「水斗くんの匂いがしてドキドキしますけど」
「するのかよ!」
てっきり何とも思ってないんだと思ったよ!
「まあ、そこはそれとして、本を読める場所がここしかないので仕方ありません」
「仕方ないって……あなた……警戒とか、しないの?」
「警戒?」
東頭は、学校で僕に向けたものと同じ、純真な瞳を結女に向けた。
「わたしはもうフラれてるんですから、大丈夫ですよー」
いやだなあ何を言ってるのこの人は、という意味を宿して放たれた言葉に、結女は絶句した。
僕はその肩に、後ろからポンと手を置く。
「わかってもらえたか?」
「えっ……あの……だって……あれ?」
僕の顔と、僕のベッドに寝そべって楽しそうに本を読み始める東頭とをしきりに見比べて、結女は混乱した顔をする。
東頭は、もう何をやっても、僕に異性として見られることはないのだと考えている。
ゆえに。
普通なら性別の壁が阻んで遠慮してしまうようなことでも、純然たる友達としてやってしまってもいいのだ、という考えでいる。
実際のところ、その考えは正しいのだ。
僕としてはそういうつもりだし、男だの女だのは抜きにして付き合ってほしいと望んでいる。僕たちは友達なのだから、友達の家に行って、友達のベッドで本を読むことくらいあるだろう。
けど……実際やられてみると、なかなか感覚がついてこないもので。
先日の告白で一番傷付いたはずの東頭に、割り切り方で遅れを取っているというのも情けない話なのだが――僕はまだ心のどこかで、いや君は女子だろう、という気持ちを拭えないでいるのだ。
僕がこういう気持ちでいることは、きっと彼女にとっては失礼なことだ。
自分勝手な理由でフッたのは僕だ。だから今更、彼女を異性扱いなんてできる義理はない。
……僕は、努力をすべきなのだろう。
彼女を見習って――あの告白のことなんて、完全に過去のことにして。
ただの友人として、付き合っていく努力をする。
それこそが、僕が発揮すべき誠実さなのだ……。
「う、うう……頭がついていかない……。なんで……? なんで昔の私よりこの部屋をエンジョイしてるの、この子……」
「考えたら負けだ。僕もこいつのことは同性の友達だと思うことにした。君は本でも読んで落ち着け」
「……そうする……」
僕が手渡した本を素直に受け取って、結女は壁際に座り込んでページを開いた。
僕も通学鞄から読みかけの本を取り出して、東頭が寝転ぶベッドの側面に背を預ける。
しばらくの間、ページを繰る音だけが静かに連なった。
「――んん~っ!」
後ろのベッドで東頭がぐぐーっと伸びをしたので、僕は顔を上げて時計を見た。
もう6時過ぎだ。いつの間にか2時間近く経っている。
僕は座ったまま振り返り、胸の大きさをひけらかすかのように伸びをしている東頭を見上げた。
「早いな。もう読み終わったのか?」
「はい~。面白かったです。難点は美少女の裸の挿絵がなかったことくらいですね」
「普通はないんだよ」
……確かこいつが読んでいたのは感動系の恋愛小説だったはずだが、涙の跡は少しだって見受けられなかった。
東頭は感情が表に出にくいタイプだ。出にくいだけで薄いわけではない。前にヒロインのサービス挿絵を何分も無言無表情でガン見していたことがある。
その辺り、結女の奴とは真逆だな――あの女は後半のどんでん返しのところで『えっ!?』という顔をするので、たまに表情でネタバレを喰らうことがある。
「はふー。肩が凝りました。水斗くん、揉んでください」
「嫌だよ。なんでだよ」
「おっぱいが大きいと肩が凝りやすいんですよ? 知らないんですか?」
「そういう『なんで』じゃないよ」
理由じゃなくて義理を質してるんだよ。
「ああ~。肩がバキバキで動けそうにありません。このまま水斗くんのベッドに骨をうずめることにします。ぼふー。ごろごろ」
「ああもうわかったよ! わかったから僕のベッドに匂いを擦りつけるのをやめろ!」
僕はベッドに上がり、ゴロゴロする東頭を起き上がらせた。ぺたんと女の子座りになった彼女の背後に、膝立ちになって回り込み、肩に手を添える。
東頭は肩越しに振り返り、上目遣いで僕を見上げた。
「優しく……してくださいね?」
指に力を込めると、東頭はぴくんっと震え、吐息を漏らす。
「んぅっ……っく! いい、です……。そのまま、好きなように……。ん、ううっ……!」
「……おい。それは何の真似だ?」
「ライトノベルの冒頭によくある、『エロいことをしていると見せかけて健全なことをしている描写』の真似ですけど」
「それはリアルじゃ成立しないんだよ!」
「いだっ!? いだだだだっ! ちょっ……握力! 握力間違ってますよー! いだだだだだ!」
凝り固まった肩の肉を丸ごと握り潰してやろうとしていると、部屋の隅で長い髪の女が立ち上がった。
「距離感どうなっとる!!」
本を読むことで落ち着いたかと思ったが、口調にかなりの乱れが見られた。
結女は何やら赤い顔で僕らを指差して、
「私を騙してるでしょ! ホントは付き合ってるでしょ! ガチガチの今カノでしょ!」
「え~? 前からこんなもんでしたよねえ、水斗くん?」
「こんなもんだったんじゃないか。友達だし」
顔を見合わせる僕らを見て、結女は「あっ、わかった……!」と叫ぶ。
「わかった。わかったわ、今! あなたたち、まともに友達作ったことないから友達的な距離感がわからないんだわ! 謎はすべて解けた!」
「失敬な。わたしたちだって友達の一人や二人……」
「そうだぞ。友達の一人や二人……」
そして僕らは目を泳がせた。
「…………まあ、距離感は人それぞれですよね」
「…………100人いれば100通りの友達の形があるからな」
「とりあえずベッドの上でくっつくのをやめてから言い訳しなさい!」
やれやれ、と東頭は溜め息をついて、
「ブラコンの義妹を持つのもなかなか難儀なものですね、水斗くん」
「ああ。まったくだ」
「ブラコンでもなければ義妹でもないっ!!」
「靴下履かせてくださいー」
結女の抗議を完璧にスルーして、東頭は僕のほうに素足を伸ばしてきた。
いつものことなので、僕は床に放ってあった靴下を拾う。そして、東頭の踵を片手で支えつつ、指、甲と靴下を通していく。
「……前から思ってたんだけど、靴下くらい自分で履いたらどうなの……?」
「いえ、それがですねー。胸が大きいと屈むのも一苦労でしてー」
「何かにつけて胸! ここに南さんがいなくてよかったわね!」
「えへへー。まあ本当は水斗くんにお世話されるのが癖になっちゃっただけなんですけど」
「たまに裏返しで履かせてるけどな」
「えっ? まじですか?」
「まじ」
「このふちゅうものーっ!」
「痛い。蹴るな」
蹴りを防ぎつつ靴下を履かせてやると、東頭はようやくベッドを降りた。
「おトイレ借りてもいいですか?」
「帰るのかと思った。まだ居座るつもりか?」
「借りていく本を決めてから帰ろうかと」
「……まあいいけどさ。階段降りて左の、手前側のドアだ」
「ありがとうございまーす」
てけてけと歩いて、東頭は部屋から出ていった。
後には、僕と結女だけが残される。
結女はなぜか、僕のことをじっと睨んでいた。恨みがましくさえあった。恨まれる覚えはそこそこあるが、触らぬ神に祟りなしとも言う。僕は気付かなかった振りをして、読みかけだった本を開いた。
「…………ねえ」
硬く刺々しい声がしたので、ちらりと視界の端で見やった。
すると。
結女は、脚に履いていた黒いニーハイソックスを、自らするすると脱いでいるところだった。
……は?
何してんのコイツ?
白く長い生足が露わになる。この前の風呂上がり遭遇事件以来に目にするそれには少しも贅肉がなく、東頭に比べるとだいぶ細っこく見えた。
脱いだニーハイを手に、結女はずんずんとベッドの僕に近付いたかと思うと、ぼすん! と僕の隣にお尻を落とした。
そして。
素足を、僕のほうに伸ばす。
さっき東頭がそうしていたように。
「履かせて」
と、脱いだニーハイを突きつけられた。
困るには意図がわかりやすすぎ、笑うには行動が突飛すぎて、僕は表情を作りかねる。
「どこで張り合ってるんだよ……。そんな独占欲があるか」
「うるさい。あなたを小間使いみたいに使うのも面白そうだなと思っただけよ。いいから履・か・せ・て!」
本当に、難儀な奴だ。
このまま押し問答をしていたら東頭が戻ってきてしまうだろう。ならば、とっとと言う通りにしてしまったほうが賢明というものだ。
僕は黒いニーハイを受け取る。
そして東頭にそうしたように、結女の踵をそっと左手で支え持った。
……足の甲に、薄く青い血管が浮いている。
足の爪が、几帳面に切り揃えられていた。東頭はいつも伸びがちだ。
それを覆うように、黒い靴下を通した。
靴下の先端まで指先が辿り着くと、足首の辺りでだぶついている部分を、脛に上げていく。
毛穴のひとつも見当たらない綺麗な脛と、肉の少ない細いふくらはぎとが、黒いソックスに覆い隠されていく。
ソックスの口ゴム部分を掴んだ手が結女の膝に差し掛かったとき、しまった、と思った。
東頭の靴下はいつも、ふくらはぎ辺りまでの長さしかないハイソックスだ。
一方、これはニーハイ。
膝上までの長さがある。
つまり、それを履かせる僕の手は、東頭のときよりずっとずっと、太腿の付け根に近付くことになる……。
ちらと結女の顔を見上げると、薔薇めいて赤くなって、口ゴムを掴んだ僕の手を見つめていた。
今更気付いたか。
こいつ的には、今までにないほどにパーソナルスペースを侵犯される形になるはずだ。やめてくれと言うならすぐにそうしようと思い、数秒、手を止める。
だが、中止の指示は来ない。
無言のままだった。
だから僕も、無言のまま、何も気付かなかったかのように、やってしまうしかなかった。
黒い布地が膝小僧を覆う。
ゆっくりと慎重に、ソックスを摘まんだ手を押し上げていく。
結女の手が、ぎゅっとベッドのシーツを掴んだのが見えた。
万が一にも……触れないように。
僕は心臓手術をする外科医もかくやという集中力で、指先を繊細に操作する。
やがて、ソックスの皺がすべて伸びた。
指先から太腿まで、黒い布地がぴっちりとすべてを覆った。
僕は一息ついて……口ゴムにかけていた指を離した。
そのとき、僕の指先が結女の内腿に触れた。
「――ぃにゃんっ!」
瞬間、結女が奇妙な声を発してびくんっと震えた。
びっくりして顔を上げると、そいつは赤い顔をハッとさせて、慌てて口を押さえる。
「……な、なんでもない……」
だろうな。
なんでもあったら大変なことだ。
僕は視線を自分の手元に下ろした。
当たり前のことだが、靴下というのは二つで一足なのだ。
「……もうひとつは?」
僕が、人目をはばかるような音量で言うと、結女もまた、どこか密やかな音量で言う。
「…………ん」
そして、素足を僕に差し出してくる。
まあ、そうだよな。
なんでもないんだからな。
僕は明鏡止水の心でもって、もうひとつのニーハイソックスを結女の足に――
ヴヴヴッ、とスマホが震えた。
僕と結女は揃って肩を跳ねさせ、僕のスマホが置いてある机を見た。
ヴヴウッ、ヴヴヴッ、ヴヴヴッ。バイブレーションは断続的に繰り返される。なんだ? 何の通知だ。
僕は結女の目を見た。
「……ちょっと見てきていいか」
「ど……どうぞ」
答えて、結女は目を逸らした。
……僕は内心で、安堵の息をつく。
なんでこいつが相手だと、こういう感じになるんだよ……。
僕はベッドを降り、勉強机の上のスマホを手に取る。
通知は、東頭からのLINEだった。
〈たすけてください〉
※※※
「助かりましたぁ……。初対面の大人の人とは、どう話していいかわからなくって……」
「ライトノベルの話と自分の胸の話しか話題の持ち合わせがないからだろう」
「……おお! なるほど!」
トイレに行くため1階に降りた東頭は、折悪しく父さんと由仁さんに見つかってしまったらしい。
そして、息子の恋愛事情に興味津々の二人によって、質問責めに遭っていたのだ。
LINEを通じたSOSを見て駆けつけた僕と結女が何とか救出したが、これ以上の長居は危険度が高いと見て、東頭にはさっさと帰ってもらうことにした。
今は僕が家まで送っているところだ――日が長くなってきているから心配はいらなかろうが、まあ一応な。
「お二人のご両親、すっかりわたしのことを水斗くんの元カノだと思っているんですけど、どうしてあんな勘違いをしているんでしょう?」
「どの口が言う」
「でも、なかなか気分がいいものですね、彼氏がいたと見られるのも。あまりに気分が良かったので少し彼女ヅラしてしまいました」
「おい! 状況の悪化!」
タチ悪い女子しかいなくないか僕の周り!
「まあ、なんというか、さすがにですね」
夕暮れが落とす影をひとつひとつ踏みながら、東頭は言う。
「さしものわたしも、『告ったらフラれただけなので1回も彼女にはなれてません』と答えるのは、抵抗がありまして」
「……………………」
「ですから、いいじゃないですか。勘違いの中でくらい彼女になったって」
まあ、元ですけどね――と呟いて、東頭は電柱の影をぴょんっと飛び越えた。
そして、隣を歩く僕の顔を、表情に乏しい目で見上げる。
「水斗くん――わたし、実はまだそこそこ、傷付いてますからね」
「……そうか」
「ですから、ちゃんと慰めてくださいね。友達として」
「そうだな」
僕たちは隣同士で歩く。
だけど、手は繋がない。
ただ、肩を並べているだけだ。
それを、今の彼女は求めている。
「わたし、水斗くんと会えて本当によかったです」
「僕も、君と会えてよかったと思ってるよ」
「うぇへへ。両思いですね」
「そうだな」
「両思いついでに付き合っちゃいましょうか?」
「それはやめておこう」
「おっと、またフラれちゃいましたね」
東頭は、ふへへー、とだらしない息を零した。
夕暮れが落とす影は、遠慮でもするかのように彼女を避けている。
僕たちは手を繋がない。
それでも隣同士を歩いている。
あるいはそこが、一番の違いなのだろう。
――もし、恋人になんてならなければ。
それは無駄な仮定だったと、今更ながらに知る。
僕もあの女も、東頭いさなみたいには決してできない。
「――どうしました、水斗くん?」
ひょいっと東頭が、僕の顔を覗き込んだ。
僕の顔を、目を、まっすぐに覗き込んだ。
赤くなることもなく。
目を泳がせもせず。
何の屈託も誤魔化しもなく、僕の顔を見た。
目が眩んだ。
きっと夕日のせいだった。
「…………、ごめんな」
「えっ、なんですか急に。とりあえず1冊奢ってください」
「わけもわからないまま代償を要求するな」
ごめんな、東頭。
僕が、僕たちが、君のようでなくて……本当にごめん。
肩を並べて、夕暮れを歩く。
僕たちの影は、前に長く伸びていた。
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