REALIZE (リアライズ)

神城 黎

第1話 はっきり見える朧月

十数年前――。


ある国の本部は 無駄な経費削減 として


貧困層を中心に国民を大量虐殺した。



通称:魔女狩り



性別も年齢も関係なく


それ は行われていた。



国の本部は 悪天候や貧困また災害など


国に起こる全ての 悪 は 魔女と呼ばれる


罪なき国民 の仕業と謳った。



貧困でインターネットなどないこの国。


国の本部の確証のない言葉によって


魔女は本物だと信じられていた。



そして国民は 魔女 を恐れ、嫌った。


時として 国民は 己の気に食わない人を


魔女として


国の本部に出す者もいたという。



そのようにして 魔女と呼ばれた者は


激しい憎悪とともに鋭利なナイフで


狩られていった。





そんな中で 国の本部は この国に


石油をはじめとする


大量の資源があることを発見した。


それをきっかけに


この国は富んでいった。


次第に魔女狩りは廃止され


また、国民の記憶からも消えていった。


そして国民は幸せに暮らせることになった。






――はずだった。





魔女狩りを廃止し始めてから数年後




国の本部に手紙が届いた。


本部のビル。最上階。30階。


それは本部の男によって開かれた



「時は来た。魔女復活したり。」









バンッ!!!


ビル最上階。


重くてなかなか開かない二重窓が


開いたことにびっくりするのも束の間


今までに感じたことのない風の強さと


夜の闇、空から 「何か」が飛んでくる


という恐怖は彼を


体の神経まで凍りつかせた。




対抗するという考えが脳の隅々まで


巡る時間など与えない それらは


持っていた鋭利なナイフで


男を殺した。



「魔女は蘇った……。」


男はそう最期に呟いた。




綺麗な満月の夜だった。



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