悪党。
今でこそ言葉通り、悪事を成すものを指し示す呼称だが、かつては「力強き者ども」という意味を持っていた。
まさにこの男こそが、「悪党」の代名詞とも言うべき時代の名将であった。
男の名は、楠木正成。
その知名度に比してあまりに謎が多いこの男は、如何にして戦い抜き、何のために時流に背いてまで朝廷に尽くし、そして散っていったのか。
本作は比較的新しい解釈と古典の両面から切り込み、この正成率いる楠木党の、知られざる一面と生涯に迫った意欲作。非常によくまとめられています。
太平記好きもそうでない方も、大いに読む価値のある珠玉の中編歴史小説です。