第4話 出会い


  可愛い女子が話しかけてきても、きょどってはならない。大丈夫、昨日コミュニケーションマニュアルで勉強したのだから。

「僕は、大沢将大です。よろしく。君は、どこ中出身なの?」

よし言えた。不自然ではないはず。定番話題でまた会話を投げる。

「美崎西だよ。」

「そう、、、ぼ、僕は美崎北だよ。」

「ふーん、まあこれからよろしく。」

思わず、同じ中学校であることを否定した。反射的に病気のことは知られたくなかったのかもしれない。

「おやおや、プリンセスゴリラ。もう仲いい人ができたわけ?」

 チューインガムを噛みながら、ニヤニヤした男が近づいてきた。

 くっきりした眉に、今流行りのツーブロックの髪型。いかにも、お調子者みたいなやつだ。

「うっせぇ、だまれ童貞ダンゴムシ!」

「なんだと、あっねえねえ君、こいつはねえ顔はまあまあなのに頭が、あーたーまーが(笑)ゴリラだから、いままでぇ」

「パチンッ」

乾いた音が鳴る。きれいなフォームから繰り出されたビンタは、この子が僕を緊張させた女の子であることを忘れさせる。どうやらゴリ、、アグレッシブな女の子のようだ。


お互いに自己紹介を終えた。僕は席の近くの浜波美穂、その前の席の中林雄一朗と仲良くなった。彼らは、中学の同級生らしい。若い力に溢れているようだった。同い年のなのに、自分が大人に見えたのは将来の希望の大きさの分だけだろうか。

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