ふたりごと

(金って罪を極め)

「なあ。」

(ん?)

「いつまでも下らないことをうだうだ言ってないでさ。」

(…分かってるよ。)

「なら今すぐに。善は急げってね。」

(いや、けど急いては事をし損じるとも。)

「それで 明日から と言って、その 明日 が来た例はあった?」

(…。)

「明日も明後日も一週間後も、永遠にやってくるわけがない。意思の弱い人間には、ね。」

(知ったような口を…。)

「知ってるよ。だって俺は」

(ああ、お前は…)


締め切ったカーテンを開け、日の光を浴びる。一度大きく深呼吸をして、机の上に放置されていた書きかけの履歴書を握り、部屋を出ていった。


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会話集:ふたりごと 夕涼みに麦茶 @gomakonbu32hon

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