霊感を確かめる方法

霊感を確かめる方法

　割とメジャーなネタだと思うが、霊感があるかどうかを確かめる方法として、こんなものがある。自分が家の前に立っているのを想像し、玄関から順に全ての部屋を巡っていく光景を頭に浮かべると言うものだ。途中で、黒い影や人の姿が見えると、実際にそこに霊が存在しているらしい。

　数多ある都市伝説のひとつとして「面白いな」くらいに記憶していたのだが、ある夜、それは起こった。

　何の物音がしたわけでも、誰かに起こされたわけでもなく、私は夜中に不意に目を覚ました。時計を見ると午前３時を少し回ったところ。

「まだ３時間寝られる」と、目を閉じた瞬間だった。

　瞼の裏に、自分が玄関前に立っている光景が映った。

（え？　なんで？）

　想像してはならないと思うのに、私の頭の中で勝手に光景は動き出す。まるで、ホラーハウスのライドに無理やり乗せられてしまったかのようだ。

（ちょ……！　やめてよ、これって……！）

玄関から家に入り、書斎、風呂場、トイレと、どんどんと視点が移動する。「これ、あかんやつ！　あかんやつや！！」と心は叫ぶのに、脳内で移り変わる光景は止められようもない。

　やがて想像の中の私はリビングを通り過ぎ、今、自分の寝ている部屋の前に辿り着いた。

　一人の見知らぬ老人が、寝室に繋がる扉をじっと見つめていた。