高校三年生の女子が、ラブコメに習って恋をしました。

そんな私も…

　ジリリリリ…………………

「…ん…」

　…………今の、夢？

　自分の部屋のベッドの上で目覚めた私はがばりと起き上がった。目覚まし時計を止め、伸びをする。

　…今の夢は、私が中学生の頃の思い出。

　不思議だなぁ、夢って。

　明らかに不自然でも、不思議に思わないのだから。

　はらはらと涙をこぼしながら考えた。

　そんな私も、高校生。

　中学卒業後、『眼鏡を外したら結構いい』ことに気づき、コンタクトを外して高校生デビューした。するとたちまち、中学生の時夢見ていた事が叶ったのだ。

　けど、なんだか…嫌になっちゃった。

　あの頃みたいに、夢をみて、ラブコメを読んで、妄想した方が楽しかった。

　…あの頃は、切なかったな。

　…今日、眼鏡して行こうかな…。

　私は、ベットサイドテーブルに無造作に置かれた地味眼鏡を手に取り、掛けた。鏡台の鏡を覗く。たちまち地味なモブ少女が出来上がった。

　私はふっと笑った。

　―――これでいいや――――