第2話
金曜の放課後。圭介は100円ショップにいた。
昨日岳人に、懐中電灯を持ってくるように指示されたのを調達するためだった。
LEDのコンパクトなものを見つけレジへ持っていく。代金を支払い駅へ向かった。
既に岳人は到着していた。バスケ部の練習着の様なものを着ている。動きやすそうだ。
「よぉ」
「おっす」
「じゃあ行くぞ」と、岳人は駅に向かっていく。そのままついて行くと下りのホームに到着した。「田舎の方に行ってどうするつもりなんだよ」
「まぁばぁちゃん家に行きたいんだ」
「ひとりで行けよ」
「ヤダ」
そんな事をしていると、電車が到着した。
「乗るぞ」
車内はそこまで混んでいなかった。
出入り口に近いせきを二人で確保し、腰を下ろした。
「で、なんで俺を岳人のばぁちゃんの家に連れてこうと思った?」
「話すと長くなるんだか、、、
まずお前は俺のばぁちゃん家に行くわけじゃないんだ」
電車は動き出した。
その後聞いた話はにわかには信じがたい話だった。
まず、岳人には両親がいないらしい。
そのために小さい頃から祖母の家で暮らし、
祖母に育てられたそうだ。
ある時まだ幼かった岳人は、山の中に廃屋を見つけた。ただ、とても禍々しくて-------
「とても近づけない」そう思い廃屋を見つけた岳人は、帰宅後祖母にその事を何気なく伝えた。すると祖母は血相を変えていろいろな事を尋ねてきた。「誰もいなかったかい?」
「誰かに追いかけられたりは?」「何か話しかけられたかい?」
ただ廃屋を見つけただけの岳人は、すべての質問に対して首を振った。そう聞くやいなや、祖母は家中の窓を閉め、鍵をかけた。祖母はそのまま玄関に向かい、ドアの前に塩を盛ると鍵を閉めた。家中の出入り口全てに鍵をしたのだ。
「あんたはおじいちゃんの部屋で寝てなさい」まだ夕方になのにも関わらず寝ろと言う祖母には、不思議には思ったものの、真剣な顔で言う祖母に圧倒され、岳人は素直に従った。「おじいちゃんの部屋」とは祖父の仏壇がある部屋だった。「おばあちゃんが明日の朝、迎えにくるまで決して窓を開けてはいけないよ。怖い事があったらおじいちゃんの所に祈りなさい。きっとおじいちゃんが助けてくれるから。おばあちゃんはずっと襖の前にいるからね」と言うと一人で部屋に入れられてしまった。不安だった。一人で暇な岳人は持ち込んだ漫画やゲーム機で遊んでいたがいつの間にか眠ってしまっていた。夜中にふと目が覚めた。時計を見ると深夜二時ごろだった。「コツコツ」と、窓を叩く音が聞こえた。次第に激しくなり、窓がガタガタ揺れ始めた。怖くなった岳人は、窓を見ない様に布団に潜り込み音がやむのを待った。十五分ほど経っただろうか。音がやんだ。恐る恐る布団を開き窓を見た。そこにあったモノを見て岳人は気を失った。
「そこにあったモノってなんだったの?」圭介は聞いてみた。岳人は、苦虫を潰した様な顔で答えた。
「下顎がなくてな。目が大きいんだ。髪もボサボサでな、手をパーにして窓に張り付いていた。キモチワリィだろ?」
「ヤベェな。」
「今日はその廃屋に行ってみようとおもってな、奴がなんだったのか調べてやるのさ」
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