第4話 追記 2017年10月

 もう十年以上も前の話なのでさすがに時効だと思い、今回、この作品を発表した。


 KADOKAWAのすぐ近くにある大学なので、小説の参考資料を集めるため、図書館に寄ろうかと思ったことすらある。

 それぐらい、私の中ではもう既に終わったことだったのだ。だからこそ、この話をカクヨムに掲載することができたとも言える。


 第3話を書き終え、完結させたときには、本当にそう思っていた。



 昨日、久しぶりに大学院のゼミの後輩から連絡をもらった。

 卒業以来、初めての連絡だった。



 それは、とある後輩の訃報。

 とても優秀で、真面目な後輩だった。発表した論文も多い。


 元気にしているとばかり思っていた。


 が、やはり、病気だったという。



 この話をこのまま掲載していてよいのか。正直、わからなくなってしまった。


 私が、思っていた以上に、障りがあることなのかもしれない。



 連絡を受けたばかりなので、私自身、動揺しているということもある。


 そして、正直……私自身、とても怖い。

 こんな陳腐な表現しか、いまは浮かんでこないのだが、ただただ怖いのだ。


 そして、怖いと言っておきながら矛盾しているが、これをただの不思議な話、怖い話というエンターテインメントとして表現するのは、不謹慎なのかもしれないとあらためて考えるようになった。


 ご遺族の方々に配慮し、コンテストの選考期間が終了したら、掲載を取りやめることも考えている。


 けして、ふざけて書いたわけではない。

 ただ過去に起きた事実を、もう時効だと思ったから綴っただけだ。


 それだけは、追記させていただきたいと思う。



 現在進行形の話だとは、思っていなかった。


 言い訳に聞こえるかもしれないが、軽く考えていた私が不謹慎だったのかもしれない。

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【実話怪談】図書館の“あれ” 中臣悠月 @yukkie86

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