逸~劇場~

~ズドン、ズドン、ズドン~


~三発の銃声が街中に響き渡り、一人の男が服を赤く染めながら倒れ込む~


~拳銃を構えながら一人の男が近づき、自分がかぶっていた古い帽子を倒れた男の顔の上にかぶせる~


~その男に、また一人初老の男が高笑いしながら近づいてきた~


~“はははは、よくやったMr. チョコレイト。

 これでこの暗黒街はワシが支配した”~


~男は拳銃をしまい、初老の男に顔を向ける~


~“そう怖い顔するな、昔の仲間を撃ち殺すぐらいこの世界ではよくある事さ。

 それにこれでワシがこの暗黒街を支配できりようになったんだ、何か願いを言ってみろ。お前の願いを何でも叶えてやるさ”~


~それを聞いたMr.チョコレイトは笑みを浮かべ、こう言った~


~“願う?俺がお前に?

 違うな、反対だ。お前が俺に願うんだ。

 Mr.ダイエット”~


~Mr. チョコレイトはMr. ダイエットに拳銃を向けながら、一歩ずつ近付く~


~“な、何をするチョコレイト!

 私を、撃つつもりか”~


~“お前は俺に近付いた。

 その時点でこうなる事は分かっていた事だろう?

 さあ、俺に願え。助けてくれとな”~


~“や、やめろチョコレイト!

 俺はまだ死にたく”~


~ない、と言い切る前に拳銃が火を吹き、ダイエットは倒れてしまう。

 そしてチョコレイトは拳銃をしまい、帽子をかぶらせた男に声をかける~


~“さよなら、Mr. トウガラシ。

 俺とお前じゃ、合わなかったんだよ”~


~その言葉を最後に、Mr. チョコレイトは暗黒街から姿を消したーーーおしまい。

 どうだった、N~


~まさかダイエットが黒幕だったとは思わなかったわ。

 Sの話はいつも面白いわね~


~ありがとう、N。

 ダイエットが敵なのはよく分かったろう?

 なんせかなり長い時間話していたからね、嫌でもわかった筈だ~


~でもトウガラシを撃ったチョコレイトを擁護したくはないわ。

 人を撃つのは悪いことだもの~


~こういうのは雰囲気を楽しむものさ。

 “トウガラシ、銃を構えな”~


~あら、さっきの再現?

 “どうしたチョコレイト、俺の話を聞く気になったかい”~


~“決闘だ、合図の三秒後に撃とうじゃないか”~


~“そうか、仕方ない。

 合図は君が言いたまえ”~


~“行くぞトウガラシ、一、に”~


~ズドン!~


~“ぐわあああ、ず、ずるい・・ガクリ”~


~“悪いねチョコレイト。俺は甘いのが苦手なんだ”・・どうかしら?~


~ずるいよN、さっきの話と違うじゃないか~


~あら、Sもノリノリだったじゃない。こういうのは、雰囲気を楽しむものでしょ?~


~やれやれ、負けたよ、君には~


~それじゃあS、オヤツにしましょう。

 チョコレイトにビスケットにキャンディに他にも一杯あるわ、私は甘いの大好きなの~


~そんな事したらダイエットに味方しないといけない日が来るぞ~


~その時は貴方も一緒ね、いつも一緒に食べてるんだから。だからダイエットもこわくないわ~


~やれやれ~



ーーーーfin

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