06 竹島粍米

 人から変わった名前だと言われていたのは半世紀以上も昔。

 この程度は別段不思議な部類に入らない、らしい。

 世の中は劇的に変化し続けている。

 つい先日、隕石が降ってきたばかりではないかとさえ思う。


 そんな災害は起きてはいない。


 地球儀に描かれている地形は確実に昔とは違う。

 異星人の攻撃で、とは言わない。

 では、何があったのか。

 何があったんでしょうか。逆に聞きたい。

 太平洋に浮かぶ国。あれもよく分からない。

 東京タワーに突き刺さる巨大な剣。理解不能。

 月に国がある。もはやどうしろと。

 地球を取り巻く環境はそれらの驚きを経て今に至るわけです。

 たぶん次は地球ごと異世界に転移する事になりますよ、いずれ。

 巨大生物の蛇や狐がウロウロしていた事件があったくらいです。これ以上の不思議な事とは何なのか知りたくなる。

 だからこそ自分の名前など取るに足りない。

 付けた親が悪いのです。


 ★ ★ ★ ★ ★


 緩やかに人口が減っていく日本人として生まれ、平和を謳歌する毎日ですが退屈といえなくもない。

 波乱万丈な人生は滅多に起こったりしないものです。

 都会ばかり襲われるとか。

 田舎はせいぜい劇場版のロケ地。

 戦争か平和か。

 一生を凡庸と暮らしたいとは思わないけれども命の危機は控え目がいい。

 慌しい日常を謳歌するのは仮想現実くらいで充分だ。

 一口に楽しい日々と言っても人によって感じ方が違います。

 自分としては空想的な方が望ましいのだけれど、それが本当に現実であったならば楽しいといえるのかは自信がありません。

 傷付けば痛いし、死にたくない。

 それが普通。

 でもやはり退屈は嫌です。楽しい日々を送りたい。

 やりがいのある日常とは何なのでしょうか。

 惰性で生きている人は疑問を何所かに置き去りにしたようで話しが通じません。

 きっと自分もどこかずれているのかもしれない。

 別に名前にちなんでなどおりませんとも。はい。


 ただの一般市民がある日突然に主人公になる。

 それはとても魅力的ではあるけれど、やはりどこか恐れを感じますよね。

 感覚が麻痺した人は凄いです。尊敬できます。

 良くそんなことで喜びを感じられますよね。

 自分もそういう感覚が共有できればいいのですが、所詮は他人のこと。

 別ストーリーの人間の気持ちはやはり理解出来るわけもなく。

 今日も退屈な日々を送るものです。

 世界が凄い事になっているのに退屈だなどと言うのはきっと、この日常に慣れているからですよ。そうでなければ、各地の異常事態に一喜一憂しています。

 でも残念ながら今の時代はそういう驚きの日々を通過してしまいました。だから、これは当たり前の日常です。

 新しい楽しみを探すのに四苦八苦するのが我々の役目。

 興味は生き物です。

 時間経過と共に経年劣化してしまいます。

 それはとても残念な事です。


 ★ ★ ★ ★ ★


 月にある球体型の天体はすっかり現場に張り付いたまま微動だにしないようですが、離れられないことはないとのこと。

 移動すると長い旅路で旅しい思いをするとか。

 近隣の星に行くのに物凄い年月がかかるらしいので仕方がありません。でも、裏技的な移動手段があるらしく、実際にバカ正直に長い航海に出る事は無いらしい。

 中に人も住んでいますし、色々と大変なんでしょう。

 では、最初の旅はどうだったのでしょうか。

 少なくとも地球までの道のりは長かった筈です。

 転移とかワープの技術があるとか。

 裏技があるとしても何処から地球の座標を得たのか。


 そんな事を一市民が疑問に思っても仕方がない。


 新しい住人が来て長い年月が経過したが意外にも世界は彼らを許容し、今に至る。

 かくゆう自分の親も天体から異邦人だとか。

 だからこそ妙な名前になっているのでは、と愚考いたします。

 なにせ、あちら天体は珍妙な名前を付けることで有名ですから。

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