あの日の言葉の真意を3日後に。

第7話エピローグ

「死にたくなんかないっなんで、私なの？

嫌だ、見たいものも見れない、次起きたら目を覚まさないだなんて信じたくない。君が起こしてくれれば起きたりしない？

だって、君のこと待つって言ったのに……嫌だっ死にたくないっ

もう、言いたいこと思ってたことたくさんあったのに言う気力もないや……

だってあと数時間したら私、死んじゃうんだよ……わかる、もともと次の誕生日を迎えられると思ってはいなかった。第六感が優れすぎてたのかな、わかんないけど。

この声が君に届かないことを祈ってる。だって、こんなずっと隠して来たことだもの。

重たいし、君に持たせるつもりはなかったんだ。だからあんな、気持ち悪いほど後味のいい手紙を書いた。自分で言うのもなんだけど、綺麗なことしか書いてない手紙でしょ？

嘘じゃないけど、あれも伝えたかったことだけど、本当に醜くて汚い本心は全部こっちに詰めておくね。

あの日、君に告白をした日。あの意味はね、私が死んだ後も、私のことを背負ってもらおうか聞いたの。君がイエスと答えれば病気のことも話したけれど君の困った顔を見たときに、やめておこうって怖気付いたんだ。

君があの綺麗な手紙しか見てないことを祈る。この声は誰にも届かないよう、1番心当たりのないようなパスワードにしておかないといけない。

でも、誰かに聞いて欲しいって言う願いも込めて存外わかりやすい数字にしておこう。

私のように勘のいい弟が、もしくは君が解いてくれるかもしれないから。

私は、死にたくない。したいこともあったし、言いたいこともあった。けれど、諦めようと決めます。

だって、往生際が悪いのも……ねぇ。

最後に。私の愛する大切な人たちへ。

死にたくなるほどーー己の生を手放したくなるほど、抱え込んだらとりあえずハグ。

なんかストレスが何パーセントかは解消されるんだって。そのあとはいろんな人に話す。溜め込んじゃダメだよ。

リフレッシュも大事、けど彼女ができたなら彼女も大事にね。私のような女いません！

私の最後の愛する人、君へ。

私のような女ほったらかしたこと後悔するといいわ！そんで、後悔したら前向きに生きて。覚えてて欲しいなんて言わない。忘れてもいい。だけど、せめてこれ以上後悔しないように生きて。

でないと、来世でも恋人同士になってやる。笑」

パスワードは0803。彼女が余命申告された日だった。

このメッセージに気が付いたのは彼女のなくなった日の3日後の夜。

このパスワードに気が付いたのは、僕だった。

この日以降、彼女の携帯は何をどうしても起動しなかった。