第6話それから3日後
無事に退職して3日。虚無感を抱えて過ごしていた。さすがの父から兄から弟から祖父母まで心配するほどだった。
食事を摂るにも取れず、部屋からでれなくなった自分を面倒をかけていたはずの人間がどうしようとしどろもどろしていた。
そんな昼ごろ、電話がなった。あの日から連絡を交換していた彼女の弟から、近くに車を停めてあるから来て欲しいとのことだった。
「すみません、姉の携帯から見れないものが見つかって」
彼女と何処か雰囲気の似た弟くんが、よく知っているーー彼女の携帯を取り出した。
「姉の携帯の整理を頼まれた僕が思いつく限りのパスワードを打っても出てこなかった、ボイスメモです。多分、姉が誰にも言わなかった思いです。なくなる前の日の夕方に撮っています。4桁の数字のパスワードに心当たりはありませんか……」
そう言われて、彼女がよく言ってた数字や関連を打っても解除はされなかった。だが一つ試していないものがあった。
0123
打って弟くんは顔をしかめた。
「諦めましたか?」
ふと、彼女の声が脳に反芻した。
ーーーなにその並びー!単純すぎてあはは、可笑しい!あははは
「俺の…誕生日だ」
ダメ元でボタンを押した。
ーーー開かなかった。
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