手招く声

@miyavi72321992

第1話

これは、私の父から聞いた話です。


私が住んでいる家の近くに、有名な幽霊スポットのトンネルがありました。

父が若い時、友人と2人でそのトンネルに肝試しに言ったそうです。


そのトンネルの奥には昔村があったそうですが、昔土砂崩れで村はほぼ壊滅、沢山の人は死んで、そのまま廃村となったそうです。

廃村となった後、トンネルを塞ぐ工事を行ったそうですが、原因不明の事故が多発し、結局は大きな岩で積み上げただけで、今は放置されているという事でした。


父と友人は岩を登り、隙間からトンネルに入る事が出来たそうです。

電気ももちろん通っていないので、懐中電灯の明かりだけを頼りに奥に進んでいくと

トンネルの奥の手前で友人が気分が悪いと言い出したそうです。

父は自分を盛り上げる為だろうと、早く立ち上がるように話したその瞬間。


前からピカッと光が射したそうです。

父が眩しいながらも光の先を見ると

帽子を被ったような人影がこちらを手招きしていたそうです。

父は警察だと思い、友人を引っ張って元の出口まで引き返したそうです。


その際、確かに聞こえたそうです。



「逃げたって無駄ですよー。遅いですよー」



慌てたまま家まで戻った後、父は気がついたそうです。

父が向かっていたのは廃村の方。

人なんていないはずだと。

さらに友人はこう話したそうです。


「お前が急に暗闇見て青い顔するから、取り憑かれたのかと思って焦ったよ」


友人には光も、人影も見えておらず、

声も聞こえなかったそうです。

その後そのトンネルは完全に封鎖され、

今は確認する事が出来ません。


父が聞いたあの声は一体何だったのでしょうか。


ーオワリー

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