第8話 おわりのお話
どうして急に彼らのことを書こうと思い立ったのか。
別に、何も理由なんかないんでしょうけど。ないんでしょうけどね、
もし、理由を作るとするなら。
私が、そう望むから、そう思いたいから、理由を付けるのですが。
お盆を前にして、彼らもたまには思い出してほしいな、なんて思ったのかもしれないな、とか。
単に夏の入りと終わりにはなんとなく「死」が多く蔓延っていて、自分の体験した死のことも思い出してしまうからかもしれないですけれど、ね。
輪廻転生ってあった方が素敵だなって思うんです。
だってどうしてももう一度会いたいって願ってしまうから。
生まれ変わって何度だって会いたいなぁって思わせてくれる出会いがたくさんあるから、
亡くしてしまった命も、どうやったって取り戻せない後悔も、何度も何度も重ねて限りある命に向き合おうとするのは、そういう理由かな、と私は思います。
あるいは人間の理不尽で削られていく命への贖罪のつもりかな?
2か月ほど前、仔猫を拾いました。
胎盤をぶら下げて半日鳴いていた仔猫を夜通し面倒みながら、きっとこの子は死んでしまうに違いないと、そう思っていました。
今、果敢に家族に挑んでは「ドチビクソ」というあだ名を拝命しています。超やんちゃ元気MAXです。
案外生きていくもんだな、と思いました。
自分も案外生きていくんだと思います。
馬達と過ごした期間には色んなことがあって、体を故障して、精神を消耗して、過換気症候群の発作を何度も何度も起こし、今ではそれもいい思い出なんてとてもじゃないけど言えませんが、馬と散歩して、一緒に朝ごはんを食べたあの穏やかな時間くらいは、もう一度自分の思い出としてちゃんと取り戻してもいいかな、と思えました。
書いてよかったです。8割きんたまの話でも。
そういえばきんたまを食おうと提案した彼女に仔猫は一か月育ててもらいました。
一つの命を繋ぐための縁を築けただけでも、あの時間には意味があったってなもんでしょう。
時折きみは誰かの生まれ変わりですかな?と問うてみるのですが、にゃーともすんとも言いませんし、繋いだ縁なら多すぎて、私も誰だか分かりませんでもそれでいいです。
私もいつか夏に死にますが、生まれ変わったら縁を繋いだ誰かにまた会えますように。
わたしはいつか夏に死ぬ うりごえ @f_urigoe
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