サドパソコンとマゾパソコン、あなたはどっち?

ちびまるフォイ

SMパソコン、もうひとつは…

パソコン売り場にひとりの男がやってきた。


「実は大事な案件のために、新しくパソコンを買いにきた」


「いらっしゃいませ、ご利用ありがとうございます」


「このSパソコンというのをくれ」


「かしこまりました。サディスティック・パソコンですね」


店員はてきぱきと梱包してパソコンを男に渡した。

男はかえってサドパソコンを立ち上げる。



【エラーが発生しました】

【エラーが発生しました】

【エラーが発生しました】


[応答しません]

[応答しません]

[応答しません]



「なんじゃこりゃあああ!!!」


サドパソコンはことあるごとにエラーを出したり、

すぐにフリーズしたりで使っているとストレスがマッハで貯まる。


男はすぐにパソコンを店に持って帰った。


「おい! なんだこのパソコンは! エラーばかり出るぞ!」


「はぁ、サディスティックパソコンですから。

 使っている方を精神的に責めるようなパソコンになっています」


「ふざけんな! こっちは大事な案件があるっていっただろ!」


男は売り場にある別のパソコンを指さした。


「こっちにかえてくれ!!」


「かしこまりました」


Sパソコンを返却した男は、新しいパソコンを持ち帰った。

起動させると今度はエラーが出ることはなく動作も安定している。


「ほっ。今度はまともなパソコンだ……」


安心して男はキーボードに手を載せて気付いた。


「ん? 固いな、このキーボード。

 力をこめないと、ぜんぜんっ、ふん! 押せないぞ!?」


付属のマウスも固く、なかば殴るように入力しないと反応しない。

これじゃパソコンをいじめているみたいだ。


男はパソコンをふたたび店に持ち帰って抗議した。


「おい! こっちのパソコンはなんだよ!?

 固くて入力しづらいぞ! 叩かないと動かないパソコンってなんだよ!?」


「こちら、マゾスティックパソコンになります」


「はぁ!?」


「頑丈なつくりになってますし、強く入力するほどパフォーマンスは向上し……」


「そういう問題じゃなーーい!!

 パソコンで大事な作業するのに毎回力入れて叩けるかぁ!!」


「はぁ……」


「ほかのパソコンはないのか!? まともなやつ!!」


Sパソコンはこっちを責めてくるし

Mパソコンは強く扱わないと動かない。


「でしたら、こちらのLパソコンはいかがでしょう」


「L……?」


見た目はなんの変哲もないパソコン。

試しに店内で操作してみるとめちゃくちゃ軽快で扱いやすい。


「す、すごい! 前みたいなクセもないし、使うたびに使いやすくなってる!」


「こちらのLパソコンは、ラブパソコンのL。

 恋人のようにあなたを想い、あなたのためにつくしてくれるんです」


「これに決めました!!」


男は即決でLパソコンを購入にふみきった。

それこそ恋人を送るように大事そうに抱えて家に持って帰った。


「ご利用、ありがとうございました」






その後、男はふたたびパソコンを持って帰ってきた。


「おい! なんだよこのパソコンは!!」


「Lパソコンになにか不都合ございましたか?

 恋人のようにあなたのために日々使いやすくなるパソコンですよ。

 いったいどんな問題が?」


「大問題だよ!! このパソコンじゃ

 エッチなサイトみれないじゃないか!!

 これじゃなんのためにパソコン買ったのかわからない!!」



「大事な案件って……」


男の購入目的がわかった店員はHパソコン売り場へと案内した。

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