読みやすい文体ながらも、心理的な道筋がきっちりと描かれており、心地好い読了感が包んでくれる作品です。お互いがお互いを慮りながらわたわたしている姿が微笑ましく、優しい気持ちにさせてくれます。おどろおどろしい側面ばかりが描かれがちな昨今ですが、元来、恋愛とはこういった微笑ましさが紡ぎ出すモノなのかもしれません。
初々しい気持ち。一生懸命で、真剣で、どこか微笑ましくて。この物語は、恋がまだ実ったばかりの男女の初デートの様子を、コミカルに、温かく描いた作品です。社会人としてすっかり大人な顔をしていても、恋には不慣れで必死な永谷さんと氷室さん。ドキドキな初デートに臨む彼らの姿は、まさに初々しい可愛らしさと、お互いへの溢れるほどの想いでいっぱいです。どんなに時を経ても、初々しさは失いたくない。そして、できるならばそんな初々しい恋をもう一度してみたい…そう思わずにいられない、ふんわり幸せな物語です。