噂の二十二説

子供の頃からお裁縫が好きな人がいました。

大人になってその趣味は続けており、色々な物を作りました。

セーターやマフラーやあみぐるみなど。


ある朝のことです、目が覚めると枕元に毛糸の塊が落ちていました。

最初は自分がしまい忘れたのかと思いましたが

その毛糸は買った覚えのない色をしていました。

不思議に思いましたが、なんとなくそれを使いあみぐるみを作ろうと考えました。


ところが毛糸は途中で足りなくなってしまいました。

作りなれているサイズなのになぜかそんな失敗をしてしまいました。

他の色を使おうかとも思いましたがひとまず途中で残しておくことにしました。


次の日の事です。

目が覚めるとまた同じ毛糸の塊がありました。

ですが、怖いという気持ちはなく早速それを使って続きを編んでいきました。


完成したあみぐるみは少し汚れてもなぜか掃除をする前に綺麗になったりと、

完成した後も不思議なことがたまにありました。


それから何年かしてその人の家が火事で燃えてしまいました。

幸い火事で亡くなることはありませんでしたが、

それまで作ってきたものは全部燃えてしまいました。


消火後に家を調べていると一枚の写真立てだけが残っていました。

それは昔から大事にしていたものでした。

よくみると写真立ての前には、

不思議な毛糸のが少しだけ残っているように見えました。




唯の噂。

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唯の噂話 @iarso

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