噂の二十一説
珍しい蝶がいる。
そんな話で地元を盛り上げようとしたところがあったが、
結局それは失敗に終わってしまった。
珍しいといわれた蝶が実は作り物だった、
そもそも作り物すらないでっちあげだった、
子供が言い出した嘘が尾ひれがついて変に広まった、
どんな理由かは詳しく知らないがともかく
蝶は隠されてしまったかのように忘れ去られた。
実際にはその蝶は存在したのに。
その幼虫を見つけた人はどこにいたのかは誰にも教えず、
蝶まで育ててから住人達に見せた。
しばらくするとその人はこの幼虫には葉っぱじゃなく
綺麗な同じ色の髪を餌にあげて育てて下さい、
と言って子供たちに配った。
子供たちは教えられた風に
何本も髪をあつめて幼虫に与えると
本当に食べていく。
幼虫は育ち蛹になりそして蝶になった。
食べさせた髪の毛のような
綺麗な綺麗な黒色の羽の蝶に。
羽を掴んでみても手に鱗粉がつくことはない
不思議な蝶だった。
多くの子供たちが育てていたので、
大人たちの目にも留まり一人がそれを自分でも育てたいと思い
配っている人物から受け取った。
その大人はもしかしてと思い黒髪ではなく
金髪を与えてみると蝶の羽は綺麗な金色になった。
その後も様々な色の髪を餌に育てることができたので、
これは良い名物になると考えた。
残念ながら結果は最初に言った通り
失敗してしまった。
しばらくすると、配っていた者も姿が見えなくなり
蝶の数事体が減って行き幼虫が手に入らなくなったのだ。
そして最後の数匹の蝶は
とても綺麗な綺麗な朱色の羽をしていたらしい。
唯の噂。
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