噂の二十説

人の手から人の手へ渡り歩いて書かれる一冊の本がある。


それは違う話を集めた物ではなく、一つのお話が続けて書かれている。


それくらいなら、おかしなことはないのだがその本に関わった人は

その話をしたがらないのだという。

書いた話を人に聞かせたくないのではなく、

その本に関わったこと自体を知られたくないようだ。


そういったオカルトじみたものが好きな集まりではみな書きたがるのだが

その本に関わった後は人に話すこともなく秘密にすることも多い。


一冊の本になっているのでページを後から継ぎ足し継ぎ足し

今も続いているようだが

本には名前がなく著者名も関わったことを秘密にしているため記載されていない。


ジャンルもわからずどんな見た目をしているのかも

書いた人以外に読んだ人も見つからず写真や絵などもないのでわからない。


なんとかして話を聞いた限りでは色々な国の言葉で話は続いているが、

始まりが誰から始まったのかどの国の言葉から始まったかは

誰も教えてくれない。


最初のページに

何が書かれていたかも

話す人は誰もいなかった。




唯の噂。

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