噂の十九節

一人の写真家が物を供養してくれる所を訪れた。


そこはお寺などではないが大事な物を持ち寄る人が

多くなり供養などをはじめた不思議な場所だった。


写真家は昔から使っていたカメラが壊れたのでそこに行ったのだが

他の人の物を見せてもらうと人形や家具、写真など色々な物が置かれていた。


写真家が供養のための対応をしてもらっていると

おかしなことに気がついた。


対応している人が使っている湯のみらしきものに入っている量が変わっていないように見えたのだ。

話をしているとき何度か口元まで運んでいるものの量が変わっていない。

注意深く見ると喉は動いているので飲んでいるように思えるのだが、

何度口に運んでも変わらない。


不思議に思いそれについて尋ねてみてもはぐらかされてしまった。

その時供養してもらう物とは別のカメラも持ち歩いていたので、

写真をとっても良いか了承を取りそれを撮影し、用を済ませ帰った。


後日、その写真を現像したがおかしなことに

そこには湯のみとは違う青いものが写っているだけだった。




唯の噂。

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