第2話憤怒(ふんもお)の化身となった経緯

「このコーヒーを入れたのは誰だ!!」


俺の師匠、山海原雄やまうみはらおがコーヒーカップを掲げて台所へと現れた。その形相はまさしく、

げきおこスティックファイナリアリティぷん☆ぷん☆ドリームである。


「は、はい!自分です!」


「貴様か!貴様はクビだ!出て行けぇ!」


やつはコーヒーの中身を俺にぶっかけるとずかずかと居間へ戻っていった。


こうして俺は味食びしょく倶楽部入社三日目にしてクビとなった。


後に先輩から話を聞いたのだが、どうやら俺がコーヒーを用意した際にミルクと砂糖を付けていたことが燗に障ったらしい。


コーヒーはブラック。異論は認めんということだろう。


だが俺は思うわけだ。ブラックコーヒー飲めるのがそんなに偉いか?


コーヒーは苦いという理由でブラックを忌避する者は少なからずいるが、それは好みによるだろう。辛いものが苦手な者もいれば酸っぱい者が駄目な者もいる。


そもそも単一で完成している料理などほんの一握りだ。うどんや蕎麦に薬味を入れることは悪いことか?サラダにドレッシングをかけることは悪いことか?パクチー食えないことは悪いことか?胸だけでなく脚で人を判断することは悪いことか?巨乳ばかりが全てと思うなたわけめ!


……すまない興奮して話がずれてしまった。


とにかく、俺はあいつを許さない。この屈辱は奴を見返すことで晴らさせてもらう。


奴が飲んでいるコーヒー豆は当然やつが美食家として求めた至高のコーヒーだ。コク、苦味、酸味はもちろん、相性の良い水と合わせドリッパーを使って丁寧にいれた一品はその名に全く恥じない。


新そばに薬味が不要なのと同じように、やつのコーヒーにはミルクや砂糖といった紛い物は必要ない。……そう、その辺にある何の変鉄もないミルクなら。





俺は多くの場所を巡り、ひたすら情報をかき集めた。そして遂に、俺は至高足りうるミルクの情報を得てここまできたのだ。




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牛の谷のフンモオ! 《伝説の幽霊作家倶楽部会員》とみふぅ @aksara

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