存在意義

池野向日葵

第1話

彼らには私の言葉が届かない。私が意見を出したところで、聞き入れる耳を持たない。自分たちだけがきちんと仕事をしているように見せている。だから、彼らが仕事だと思ってやっていることには、出来るだけ口を挟まず、私は、その場にいる生徒の一員として静かに彼らの言動、行動を見て、それに対してまた、私が何か言ったとしても、彼らは絶対に私の言葉に耳を傾けることは無い。きっと、彼らは私が仕事をしていないと思っている。そうではない。彼らが私に、仕事をさせようとしないのだ。私達は同じチームで仕事を分担し、情報を共有しなくてはならないはずなのだが、彼らはそれをしようとしない。私は、彼らの中の一人にその事を話した。しかし、その一人というのも、私の言葉など耳から耳へと受け流しているだけに過ぎない。ああ、これが原因か。彼らは自分の意見を述べるのに夢中で、周りなど見ている暇がないのだ。だが、そんな彼らの言葉を真摯に受け止め、何も知らない生徒達は、与えられた役目を果たそうとする。私は、何をしたら、あなた達に認めてもらえるの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

存在意義 池野向日葵 @baron2260

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る