世界で一番好きな人だから

あさかん

何でもするから


 それは、大きな胸の人にできるお腹とTシャツの隙間だったり。


 あるいは、四肢から胸元や内股にかけてうごめく多数の触手であったり。




 私はあなたが好きなことしてあげたいし、させてもらいたい。


 あなたの好きなものでありたいし、そんな女の子になりたい。


 

 私は巨乳じゃないから、前者はきっと無理だ。


 私は申し訳程度の僅かな膨らみに手を当ててみては、不安を募らせる。


 あなたはこれに満足しているのだろうか。


 

 後者なら工夫次第でなんとかなるかも知れない。


 そうだ活きの良い🐙タコを買おう。


 あなたが触手好きであれば、それを手足に装着したら少しは喜んでくれるかなぁ。


 くコ:彡イカも一度は試してみよう。



 私はあなたの好きなものを日々研究するのが日課だ。


 以前の私は紅茶が好きだったけど、今はコーヒーを好んで飲んでいる。


 それはあなたがコーヒーが好きだから。



 この前は裸エプロンを試してみたけど、反応は薄かった。


 違う日に長い靴下と短いスカートを履いてみたけど、絶対領域も見事空振り。



 何が正解かちゃんと教えてくれたら楽なのに、あなたは一向に口にしない。



 あなたが求める趣向と性癖。



 ひょっとしたらその答えは48手の中にあるかもしれないと、昨日はひとりでトレーニングをしたんだよ。


 だから、今夜はサロンパス湿布薬の匂いでちょっと😞しょんぼりさせちゃうかもだけれども。



 今日は何をしようか。


 今まで試していないこと。


 猫耳、目隠し、スク水を着て背中を流してあげようか。


 まだまだ、やれることはたくさんあるはずだ。



 とりあえず、あなたの好きなハンバーグを作りながら考えよう。


 その前に、掃除もしなきゃだね。


 わたしが少し居ないだけで、あなたは部屋を散らかしてくれるから、わたしはあなたのために尽くせることが増える。


 

 ベッドの下は特に埃が溜まりやすいから、今日は隅々までキレイにしてあげよう。



 ―――こつん



 掃除機のホースが何かに引っかかる。


 私はうつぶせになって手を伸ばしそれを引き寄せた。



 あっ。


 そっか。


 そうだったんだ。



 開けた窓から、初夏の日差しと温かな風が私の心身を優しく包み込む。


 

「ついに見つけたんだね」



 振り返るといつのまにか帰ってきていた、あなたがそこにいた。



 はい。


 やっと、見つけました。


 

 わたしは何もしなくて良かったんだ。


 あなたはありのままのわたしを好きでいてくれたんだ。



 ふわりと流れた私の髪をそっと撫でるあなたの手が、まるでおめでとうと称えてくれたように感じた。





 結局、わたしがずっと探し続けていたその答えはベッドの下にあった。



 そして今は私の手の中にある。



 

 



『ちっぱい大全集』 


 

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