第39話 十二月三十一日 大晦日
年末商戦が終わった。
なんとか無事に閉店時間を迎えて、安堵の表情で一服している店長である。
タバコは吸わないが、うまい棒を
「大野君。今年も無事終わったな。何とか計画が達成できたし」
「そうですね。昼に雨が降った時は諦めかけていましたけどね」
「これも従業員みんなの努力のおかげだと心から感謝しているよ」
「そうですね。『
「『
ワザと間違った大野君に、笑顔で突っ込む店長である。
「しかし、この『患者』の気持ちをどうやってみんなに伝えたらいいのだろうな……」
「『患者』でなくて……感謝……でしょう」
ワザと間違った店長に、笑顔で突っ込む大野君である。
一年たって、名コンビになった。
「みんなも、自分の与えられた仕事を全うした結果ですから……店長の感謝の気持ちだけで十分じゃないですか?」
「それじゃ、みんなに
「気にし過ぎですよ。みんな店長の事が大好きだから……問題ありませんよ」
「そうかな……」
照れる店長。心底嬉しそうだ。
「みんなが店長の下一丸となって頑張ったから、売上達成できたんですよ。チームワークがなかったらこんな結果にはなりませんよ」
「ありがとう……じゃあ、ちょっと周ってくるからな」
事務所の出入り口に向って駆け出す店長である。
「明日は元旦初売りで忙しいですから……早く帰らせてやってくださいよ。長居したら駄目ですよ」
年末商戦で疲れ切った体にムチをうちながら各部門を巡回する店長。
ムチで打たれるのが好きかどうかはさておき頑張ったようだ。
「ただいま……」
顔の精気が消えかかっている。
「早かったですね。もう少しゆっくりしてもかまわなかったのに」
「それが……もう誰もいなかった。みんな帰った後だった」
店長は椅子にドカッと座り込んだ。
「あらあら。みんな疲れていたから帰ったんですね」
「…………」
「明日の朝。新年の挨拶で労ったらいいじゃないですか。そんなに落ち込まないで……」
「そうだな……明日はお年玉も出せそうだし。一応『不服袋』も用意しているけど一緒に渡したら、それはそれで喜んでくれるかな?」
「喜んでくれますよ」
珍しく、店長の肩を揉んで
二人しか知らないが、大野君は昔、整体師だったことがあった。
「大野君……みんなからいっぱい思い出をもらった一年だったな……」
「『
大野君が強く
スーパーぬらり屋 営業日誌 山本 ヨウジ @yamayamato
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