タウンとコインと奢り


「あたしは夏希なつき!よろしくね!」

「僕はゆう。よろしく」


真理亜に連れら教室の後ろの方で喋っていた2人の元へ行くと、早速自己紹介してくれた。

夏希──赤髪ショートに赤目の女の子──と、悠──白髪碧眼の男──は、どうやら真理亜の腐仲間らしい。悠は腐男子というものだそうだ。


「よし、じゃあ行きましょうか。まだタウンの説明はされてない感じよね?」

「はぁ、タウン?聞いてないな」

「全く新参も学長も、使えないわねぇ」

「真理亜毒舌ぅ」

「じゃあタウンの説明は僕から。この施設内にはタウンと呼ばれるいくつかの街があるんだ。そこにはお店とかもいろいろあって、買い物とか食事とか出来るんだよ。娯楽施設もいくつかあるんだ」

「へぇ、そんな大層な設備が…。こりゃ、外の人間に知られたら批判の嵐だな」

「入った人しか知らないんだよん!あたしも入って初めて知った!」


なんだ、プチテーマパーク的な?ショッピングモール的な??

そんな施設が入ってるなんて、ここどれだけ広いんだ。


「ここで重要なことが1つあるわ。タウンでは、この施設内で配給されるコインがないと何も買えないの。配給は月に最低限の支給と、後は成績や戦争に行った時の活躍によってボーナスが出るから、しっかり活躍することね」

「うーん、覚えることいっぱいで頭痛てぇ…。ん?そういえば、あたしそんなコイン持ってないよ!?」

「今月の配給は終わったからね。でも多分、後で新参から貰えると思うよ。だから今日は僕達の奢り」

「おお!ありがとう!!じゃあ遠慮なく!」

「遠慮はしてよーん」


夏希、あたしはな、奢ってやると言われれば遠慮はしねぇ女なんだよ…!!


「ふふ、そうね。遠慮入らないわ。ここは筆記試験で常に好成績の悠に払ってもらいましょうか」

「えっ!?なんで僕なんだい!?」

「おっす悠先輩!!ゴチになります!!」

「やったー!悠の奢りぃ!」


それにしても自由度の高い場所だ。それだけ死に近い場所だと言うことか。

そもそも、皆はどんな罪でここに送られたのだろう。重犯罪者でもここに送られない人間も沢山いる。ここに送られた犯罪者は選ばれている、とあたしは思っている。

皆はどんな罪でここに来たんだろう。

気になる…、でも、これを今聞いてしまうのは、なんだか違う気がする。

いつから知れる日が来るのかなぁ。


「さぁ、お昼ご飯を食べに行きましょう。時間がなくなってしまうわ」

「そうだね、案内するよ」

「悠の奢りぃ!悠の奢りぃ!」

「うん、今行く!」


まぁ、知らなくてもいいか。

気になるけど、今はまだ。

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