金髪女神様
「あー!疲れたぁ」
「今日はあっちの店に飯食いに行こーぜ」
「あたしも行く!」
午前中の授業が終わり、昼休憩に入ったこのクラスはとても賑やかだ。うるさい程に。いや正直に言おう、うるさい。いいんだけども。授業中もうるさかったし今更なんだけども。
午前中の授業の内容は、想像通り物騒なもので。自給自足の仕方とか、野生動物の狩りの仕方とか、はたまた敵地へのスパイ活動での極意とか…。ともかくなかなかに物騒な講義だった。しかも覚えなきゃ死ぬぞって脅された。
なんて物騒な場所なんだここは。いや、あたし達の存在がそもそも物騒なんだが…。
ちなみに午後の授業は、午前中に受けた講義の実施訓練で、夜の9時まであるらしい。
「ねぇ、君。ちょっといいしら?」
「ん、はい?なに?」
おおっと考え事をしていたらクラスの女子A──金髪ロングで色白の肌に碧眼…、にこやかな笑み…、まさに女神だ…──に話しかけられたぞ、マヌケな返事をしてしまった!しかしこれはここから恋が始まるフラグか!?禁断の、女同士の恋…!?
「蒼葉ちゃんだったわよね。私は
「よろしく、真理亜」
「さっそくで悪いんだけど、お昼一緒にどうかしら?まだわからない事だらけでしょう?私が色々案内するわ」
「ありがとう。それじゃあ、案内お願いする」
これは本格的にフラグじゃないのか!?一目惚れ!?なぁ君あたしに一目惚れなの!?いいよ言ってくれて!!
「あぁ、ごめんなさい。一目惚れとかじゃないのよ」
「へっ!?なんで分かった!?あたし口に出してた!?」
「いいえ、私の能力よ。翔吾と同じ能力ね。他人の考えてることとか、思ってることが読めちゃうの。その人の心のプロテクトによって読めたり読めなかったりだけど。蒼葉ちゃんの場合、そっちから話しかけてきてるみたいに読めるわよ」
ふふふ、と笑うルーシャに少し恥ずかしくなる。
いや、正直に言おう。少しじゃない、尋常ではないほど恥ずかしい。穴があったら入りたい。むしろスコップがあれば穴を掘って入りたい。埋めてくれ。
そりゃそうだよ。こんな女神の様な人があたしに惚れるなんてないよ。ちょっとボーイッシュだねって言われることもあるけど流石にないよ。くっそわかってるけどなんか悲しいぞ!?
「へ、へぇそうか。凄いな」
「そうでもないわ。この能力だと、外では嫌われることがほとんどよ。私も
ふぅん、あたしのまわりには能力持ちはほとんどいなかったから分からないけど、そんな苦労もあるんだな。
「まぁ、今更どうだっていいわ。ここの人は犯罪者しかいないけど、皆根はいい人たちよ。仲良くしましょうね」
「うん」
「何か食べたいものはある?私達が奢るわ」
「チャーハン食いたいかな。…ってか、ん?私達…?」
「あらやだ、2人きりだと思ってた?残念ね、あと2人呼んでるわ」
堪えきれないと言った様子でくすくすと笑う真理亜…、いや、あれはもはやくすくすではない。ぶはぶは笑っている。
「あぁそれと私、男同士のあれやこれが大好きなの。あなた偏見なさそうだし、先に言っておくわ。自分が好きになる前に誰かとのカップリングを勝手に作ってしまうのが楽しくて今は恋愛興味無いだけで、あなたは落ち込まなくていいわよ?あっ、腐女子で恋愛する方は沢山いるんだけど、私はできないのよね〜!」
「アッ、ソウナンダ。イ、イイトオモウヨ、ゼンゼン…」
心底楽しそう。そしてサラッと慰めてくれた。
あぁ、真理亜殿はあれなんだな。女神の皮をかぶった腐女子だ。
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