第9話 異人〈イジン〉
な、なんの騒ぎだ? ここからだと何が起きたのか全く理解できない。
椅子から立ち上がった
この場にいる誰もが要領を得ていないのではないだろうか。
そんな俺の推測を
「かわいい女の子だぁー」
持田の表情は相変わらず、変化しているのかしていないのか
なに、お前、助産師さん? とツッコミたい衝動を抑え、俺は
「女の子って?」
「すごいスピードで職員室に入ってきたのが見えたんだよー」
あの辺、と一言呟き、
俺と
ダッシュで職員室に入ってくる女の子って、なんだよそれ。怖すぎんだろ。イノシシ系ヒロイン? けも
臆病な
目の前には、見覚えのある教科書やファイル、ペン、ワイヤレスマウスなど多彩なジャンルの小物が辺り一面に散乱している。
その中心から放たれる異様な存在感。それを目にした俺は、硬直した。
金色に輝く
俯いていて顔は見えず、何者なのか全く分からない。
呼吸が荒くなっているのだろうか、肩が上下に揺れていた。
わぁ、と
「お、おい、
思い出そうとしても思い出せない。なにか引っかかるものがあるのに正確には分からないという点で、『箱の中身はなんじゃろな』状態だ。
記憶を適当に探っていると、
「……せんせー! この学校、変な人ばっかりー」
わずかに目を潤ませて訴えかける
「おい、敬語」
「えーいいじゃん、そんなに堅いこと言わなくても」
なにこの子。
というか、この小柄な金髪女子高生は何者なんだろう。学校どころか街中にいても目立ちそうな風貌をしているのに、全く見たことがない。
次から次へと疑問が湧いてきたけれど、すぐに出てきた一つの結論で終止符を打った。
この子、転校生か。
だとすると、この超短期間に
そんなクソどうでもいい妄想を繰り広げていると、
「聞いてよー。トイレから出たときに、なんかウェイトレスさんみたいな格好をした人が目の前を通りすぎていってさ! わー可愛いって思って話しかけたの。そしたらなんかめちゃくちゃ怒られて……なんなのあの人、怖すぎるよーって気分サゲサゲで歩いてたら、今度は突然うしろから話しかけられてさ。『き、きみ可愛いね、どこから来たの? 本? アニメ? よかったら僕と契約して魔法しょ』ってなんだか身の危険を感じたから最後まで聞かずに走って逃げて来たんだよー! そしたらここまで追いかけてくるし……この学校は変な人を野放しにしてるの!?」
……いやーよく喋るなぁ、こいつ。あと二人目のやつは下手したら捕まるぞ、自重しろよ。
だいたい、そんな絵に描いたような変人、ほんとにいるのか? まぁ、いないことの証明はできないから何とも言えないけれど。
そんな気持ちを目玉に込めて
「先生、この子が転校生ですか?」
「ん? ああ、そうだ」
「自己紹介……の前にまずはこれを片付けないとな」
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