共犯者になりましょう。
源内
記憶
窓ガラスから射し込む燃えるような赤が、照らしていた。
赤は女を底のない黒へと塗りつぶし、私を光でいっぱいに満たした。
ぼんやりと浮かぶ女の笑みは母のようにあたたかく、姉ようにやわらかいものであったが、私にはそれがくすぐったいように感じられ女から顔を背けた。
「どうして?」
沈黙の中、女の薄いくちびるからどろりと這い出てきたその言葉は、私の心臓をぎゅうと鷲掴みにして握り潰そうとする。
ぎぃぎぎと歯が擦れる音。
どっ、どっ、と心臓が血液を送り出す音。
じゅぃーん、ぎゅぃーん、蝉の声が。
ああ追い詰めるのだ!耳の近くで!すぐ側で!
手はじっとりと湿っていた。
私の心は、身体は、じんわりとじっくりと錆びて動かなくなってゆく。
女は私の返事を待っているのだ。
風がごうごうと吹き荒れ、どだだだと雨が屋根を叩きつけた日。
夕方の5時、赤が射し込むこの場所で、自分を殺した
共犯者になりましょう。 源内 @kpt4949
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