個人的には4話目にあたる饒舌、その次あたりまでが特に好きでした。ただ本題はもしかしたらそれ以降なのかもしれないです。男女二人の会話や詩の引用が中心の物語ですが、肌や空気に直接触れられそうな描写が見事です。
羊皮紙と羽ペンと本が、古き良きヨーロッパを想像させます。(私はイギリスを想像して拝読しておりました。)詩人である彼女の語り口らしく、詩的な形で綴られています。質素な詩人の彼女と、幼馴染みである華やかなピアニストの彼。親の決めた気の進まなかったはずの婚約がきっかけで、これまで見えなかったものが見えていく。セピア色だった街は、彼女にとって、今はどんな色彩を放っているのでしょう。いや、しかし、作者さま高校生ですか……。丁寧な心理描写等いろいろすごすぎる!勉強させていただきました!