会話

北海ハル

スタート

 女「とりあえず……自己紹介からしましょうか?」


 男「か……加藤です。よろしくお願いします。」


 男「すみません加藤さん、あなたは何故ここに来たのですか?あ、私は笹井といいます。」


 女「少ない時間ですが、よろしくお願いします。私は片山です。」


 加藤「少ない時間……になる事を祈っています。片山さんと、笹井さんですね。よろしくお願いします。それと笹井さん、私は……娘の手術のために来ました。」


 笹井「大変ですね……。私は、借金を返済するために……五百万ほどあるので……。」


 片山「では私……私は、笹井さんと同じく、借金なのですが……。友人に逃げられまして、保証人の私が七百万を返す事に……。」


 加藤「似たような形ですね、お二人とも。……突然すみません、お好きな食べ物を伺ってもいいですか?私は肉料理が好きでして……。」


 笹井「手料理……妻の、手料理が食べたい……。」


 片山「芋餅が好きです、私。」


 加藤「質問を変えましょうか……。いや、クイズでもやりましょうか。」


 笹井「加藤さん、こんな状態でよくそんな事言えますね……。」


 片山「ねえ、笹井さん。加藤さんはきっと、気を紛らわせようとしてくれているのよ。そうでしょ?加藤さん。────」


 加藤「……ええ、そうです。私はこの緊張状態をせめて和らげようとしてクイズを考えました。」


 笹井「確かに、理解できます。……どんなクイズですか?」


 加藤「……考えたのは、もの当てクイズです。暫くはこれを続けましょう。緊張をほぐすためなので大丈夫、必ず答えられるものを提案しますよ。」


 笹井「……よし、やりましょう。」


 加藤「うん、では始めよう。────白くて、太い野菜は何だ?」


 笹井「────!……!……。────」


「────終わりです。おめでとうございます、加藤さん。貴方の勝ちだ。」


 加藤「……ありがとうございました。」


 こうして賞金一千万を賭けた「会話しりとり」という名のデスゲームは幕を閉じた。


 加藤は椅子に座ったまま頭を銃で撃ち抜かれた笹井と片山を見やり、部屋を後にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

会話 北海ハル @hata

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説